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2026.1.19機能性表示食品における限界と可能性ウェルネスフードジャパン2025

2025年11月26日(水)〜28日(金)、東京ビッグサイトにてウェルネスフードジャパン2025が開催された。ウェルネスフードジャパンは、健康食品・機能性食品・サステナブルフード・サプリメントなど健康食品・素材を持つ企業が世界中より出展する日本最大級の展示会で、健康食品や機能性食品素材業界関係者などが全国より3日間で4万人以上来場し、熱心な商談や意見交換、最新動向の調査などが行われた。ここでは機能性表示食品における「限界」と「可能性」について、2名の登壇者によって行われた「機能性表示食品における限界と可能性」のうち、消費者庁 食品表示課保健表示室 室長 今西保氏の講演を取り上げる。

機能性表示食品をめぐる最新動向
消費者庁 食品表示課保健表示室 室長 今西保

現在、国内における保健機能食品は大きく3つに分類されている。この「トクホ・機能性表示食品・栄養機能食品」という3つの保健機能食品制度について、消費者庁食品表示課保健表示室の今西氏は今一度解説。

トクホ(特定保健用食品):国が安全性と機能性を確認し、審査・許可する。疾病リスクの低減表示が可能であり、有効性の科学的根拠には最終製品を用いたヒト試験が必須。

機能性表示食品:事業者の責任において安全性と機能性の科学的根拠を裏付けた資料を提出し、販売60営業日前に消費者庁に届け出る。科学的根拠は、ヒト試験以外にシステマティックレビュー(SR)も認められている。

栄養機能食品:国が定めた基準を満たせば、ビタミン・ミネラル等の表示が可能である。

保健機能食品はいずれも「食品」であり、「食品」を超えた疾病の治療や予防といった目的になると医薬品になるため、医薬品との境目の判断は難しいところだが、申請は食品として受け付けられているのが現状だ。健康食品の臨床試験に関して、医薬品は厚生労働省・PMDA(医薬品医療機器総合機構)に事前に相談できるのに対し、食品はそれが不可能であるため、事業者によって科学的・倫理的に反する不適切な試験が行われるリスクがある。これは機能性表示食品制度全体の信頼性を損なうリスクであり、一方で高額な費用をかけた臨床試験が無駄になることもある、とかねてから指摘されてきた。この課題に対し、機能性食品の臨床試験が満たすべき基準を明確化する取り組みが進んでいて、制度そのものも常に改定され、今まさに過渡期を迎えている。

そもそも、トクホの手続きは機能性表示食品に比べてステップが多い。申請内容の確認後、消費者庁内の特定保健用食品の表示許可等に関する部会で機能性の妥当性や表示内容の適合性について専門家による議論が行われる。安全性については食品安全委員会に諮問し、答申を受けて確認する。また、医薬品との境目については厚生労働省に協議し、問題ないとの回答を得た上で、最終的に消費者庁長官が許可する流れだ。許可の前には関与成分量の分析も行われる。ちなみに現在、疾病リスク低減表示の基準として定めているのはカルシウムと葉酸であり、その他にも個別で評価しているものがある。今年の4月には通知改正があり、2段階の表示も認められている。

いずれにせよ、このトクホ申請のハードルの高さは事業者にとって大きな負担となっており、近年は機能性表示食品への参入が増えてきた傾向にあるのは消費者庁としても感じているというが、引き続きトクホについても育てていきたい制度であり食品であるため、ぜひ多くの事業者に届け出て欲しいと話した。

一方、機能性表示食品は、販売60営業日前に科学的根拠の裏付けをされた安全性と機能性の資料を添付して消費者庁に申請し、確認の上で届け出番号とともに公表される制度だ。安全性・機能性については事業者の責任となる。機能性表示食品制度は、消費者への透明性を重視しており、届け出番号を公表することで、消費者が消費者庁のホームページから対象商品(食品)のほとんどの情報を見ることができる仕組みになっている。これは、薬剤師などの専門家が成分や相互作用を確認する上でも重要視されているが、実際は十分な活用がなされているとはいえない。そこで現在は経過措置期間であるが、対象商品のパッケージには機能性表示食品であることを四角で囲って表面上部につけ、近くに届け出番号も入れてもらう改定が行われている。これにより、店頭で一目で機能性食品だと分かるようにするのが狙いだ。科学的根拠については、最終製品を用いたヒト試験の他に、システマティックレビュー(SR)も認められているが、今年の4月からはPRISMA 2020に準拠して申請する形に変更となった。また、現在、消費者庁での届け出の確認作業は、複数人で議論する体制を取っているため、約50営業日を少し超える時間がかかっているが、消費者庁としてはこの期間を短縮したい考えであり、事業者に対し、特に表示見本の作成における協力を求めている、と話した。誤字脱字、句読点の処理など、案外簡単な表記ミスでの出し戻しも多いからだという。

紅麹問題などを経て、現在も制度の見直しが進められているが、昨年5月の会合によって取りまとめられた2026年度の大きな制度変更点は以下となる。

  1. 健康被害の報告の義務化
  2. 安全性・機能性の科学的根拠のさらなる明確化:カプセル剤・錠剤の形状の食品についてGMP(適正製造規範)の順守。
  3. 新しい成分または新しい組み合わせについては、専門家の意見を聞く必要がある場合、120営業日の審査時間を設定。

これらの完全施行期日は来年(2026年)の9月1日であり、特にGMPについては、チェックできる製造所で製造するよう求められている。消費者庁ではGMPチームを作り、製造所の確認と助言を行っている、と説明。事業者は製造者と連携して進めるべきで、消費者庁が確認に使う点検票を届け出者向けにアレンジしたものが既にホームページで公表されている。なお、120日間の専門家への確認期間は最長であり、早く回答が来る先生もいるため、必ずしも120営業日かかるわけではなく、できる限り早く公表するよう努めているという。 制度の改定は、2026年9月1日が多くの部分で完全施行となるため、消費者庁としては、この制度がさらに信頼性を高め、円滑に運用できるものとなるよう、事業者・業界と相談しながら進めていきたい、と話した。

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