2019年5月22日(水)~24日(金)、東京ビッグサイトにて「第24回ifia JAPAN(国際食品素材/添加物展・会議)」が開催された。同展示会セミナーより三生医薬㈱の講演「何が起きてる機能性表示~売れている”機能性表示食品の制度と最新動向」を取り上げる。
機能性表示食品、200億円市場に
三生医薬㈱は健康食品や医薬品などの原料調達から最終製品の製造まで行っている。
2018年5月には静岡県南陵に日本最大規模かつ最新の設備と管理システムを採用したソフトカプセル専用工場を増設した。
ここ数年は機能性表示食品の企画・製造・届出サポートにも力を入れているという。
サプリメント市場で機能性表示食品は最も動きがあり、制度開始から4年経つが、すでに200億円市場になっている。
届出から受理に一年がかり
ただ、多くの企業が届出受理を試みるものの、一般的に届出から受理には一年ほどかかり容易ではない。
三生医薬ではすでに届出済みの原料が9つ(L-テアニン、大豆イソフラボン、フィッシオイル、クリルオイルプラスなど)あるが、機能性関与成分にこれらの素材を活用すれば開発プロセスが大幅に省略できるため早期届出も可能という。
自社成分以外の成分に関しても「情報提供」「商品設計」「安全性・作用機序の調査」「届出資料の作成」などの支援を行っており、すでに80品以上の届出をサポートし、関与した機能性表示食品は130件を超えるという。
また、同社工場ではGMPを取得、海外市場で販売する際に必要なcGMP(国際規格)も取得しており、安全性や品質の高さの証明もスムーズであるという。
消費者庁、届出許可の迅速化を後押し
先日、機能性表示食品のガイドラインの変更が行われた。これまでにも何度か行われているが、今後もアップデートが予測される。
最新のアップデートでは軽症者データの取り扱い範囲の拡大によって「アレルギー、尿酸、認知機能」の3領域で一部取り扱い範囲が増えている。
また、届出資料の簡素化により事業者の負担が3割減となり、届出許可の迅速化を消費者庁も後押ししている。
機能性表示食品のトレンドとしては、2017年に受理件数がやや落ち込んだが、2018年にはサプリメント形状の届出が最多になった。おそらく2019年も増加することが考えられる。
今後フレイル市場が狙い目に
これまではシステマティックレビュー(SR)による届出が圧倒的に多かったが、徐々に最終製品による臨床試験での届出件数が増えてきている。
機能性表示食品市場の知名度が上がってきたことで、競合製品と差別化するために臨床試験を行ったほうが効果的と判断する企業が増えているためで、今後も臨床試験のニーズは高まると考えられる。
訴求別にみると、「生活習慣病予防」が44%を占め、「フレイル(高齢者の機能虚弱)予防」が16%と拡大している。今後もこのフレイル市場が狙い目となりそうだ。
フレイル市場は「オーラルケア」「脳機能サポート」「アイケア」「関節サポート」「骨」「筋肉サポート」「腸内環境」とさまざまなジャンルがある。
新たな機能性の追加で差別化を
「脳機能」については「イチョウ葉エキス」が主な関与成分だが、「記憶力の維持」といったヘルスクレームから新しいものがなかなか登場しなかったため停滞気味であった。
しかし、同じ「記憶の維持」でも、㈱セラバリューズは「クルクミン」による「”日本初”アミロイドベータやタンパク質の蓄積の抑制」をヘルスクレームにしたことで新たな風穴を開け、市場の再活性に期待が寄せられている。
このように、すでに受理されている機能性成分やヘルスクレームであっても、新たに機能性を追加したり、より具体的に作用機序を書き換えたりすることで差別化が可能となる。そうした商品こそが売れている傾向にある。
「生活の中で感じる不安や不便」の改善を訴求
ダイエット関連は停滞気味とされていたが、アフリカマンゴノキ由来エラグ酸が受理されたことで、再び受理件数も増え、市場も盛り上がりを見せている。
健康食品市場は年2.6%の割合で拡大を続けており(三生医薬及び富士経済調査)、特にサプリメント市場は機能性表示を中心に「肌質改善」「血糖値」「リラックス」「血圧」で市場拡大が続いている。
機能性表示食品の場合、「高くても売れている」ものも多くある。生活の中で感じる不安や不便を「食品やサプリメントで改善」でき、且つそれをわかりやすく訴求したプロモーションを行えば、機能性表示食品の需要は引き続き拡大するであろう、とまとめた。