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2020.7.22口腔内免疫、サプリメントの役割~夏のWeb公開シンポジウム

2020年7月22日(水)、「夏のWeb公開シンポジウム~健康食品新時代の幕開け 免疫への可能性」(三生医薬㈱主催)が開催された。この中から、森永 宏喜氏(森永歯科医院/米国アンチエイジング医学会認定医)による講演「口腔内免疫の重要性とサプリメントへの応用」を取り上げる。

歯周病、生活習慣病の原因に

「メタボリックドミノ」という言葉がある。ドミノ倒しは、まず小さいドミノが倒れる。そこから次第にドミノの数も大きさも連鎖的に増えていく。

最終的にはすべてのドミノが倒れるが、生活習慣病もこれに似ている、と森永氏。

最初はごくわずかな感染症や些細で軽い病気とはいえない状態が生じる。それが改善されないと、徐々に深刻になり、やがて病名がつく疾患となる。

この最初のきっかけは、つまりドミノ倒しでいえば、一番最初のドミノが、実は「う蝕(虫歯)や歯周病」であることが多い、と森永氏。

つまり、あらゆる重篤な疾患を防ぐために、最初に守るべき場所が「口腔内」と言えるのではないか、ということだ。この考え方を歯周医学という。

歯周病は軽く見られがちだが、歯周病菌の感染によって炎症が生じ、活性酸素や酸化ストレスが発生すると、それが遺伝子やタンパクを変性させ、やがて生活習慣病の原因になることもわかっている。

歯周病そのものを治療すると同時に、歯周病によって発生する活性酸素を抑制することも大切。最新の歯周病治療では抗酸化物質を取り入れ、体内の抗酸化システムを活性させていくことも同時に行うようになっている、と森永氏。

歯周病の進行、慢性的な炎症に

歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなる。最終的には歯が抜けてしまうことが一番の問題とされているが、実は慢性的に炎症がある(=歯周病がある)ことが一番の問題となる、と森永氏。

日本人の成人の8割が歯周病を持っていると言われ、中でも病的な歯周病を持つ人は加齢とともに増えるため高齢者に多い。

口腔内に歯周病がずっと存在するということは、ずっと炎症が起こって活性酸素が過剰に発生しているということでもある。

歯周病菌はこれまで腸に到達しないと考えられていたが、最新の研究では歯周病は腸にまで到達し、腸管のバリア機能を破壊し、腸内環境を乱すことや、免疫を低下させることもわかってきている。

最新の歯周病治療では抗酸化物質を処方する。例えば、ビタミンCの血中濃度が低い人ほど歯周病が重篤化する傾向にあるため、逆に歯周病患者にビタミンCを処方し治療成果を上げている。

また、歯周病の治療にDHAを服用すると治療効果が高まるという研究成果もある。ビタミンDには体内で天然の抗生剤と言われるディフェンシンなどの分泌を行う役割がある。ビタミンDの摂取で歯周病に対する抗菌作用が増加することが試験管試験でも報告されている。

さらに、亜鉛にも多彩な生理活性作用が報告されている。亜鉛は特に口腔内の健康と密接に関係しており、亜鉛が欠乏すると食欲不振、味覚異常、口腔内の感染症リスクアップなどが起こることもよく知られるようになっている。

慢性的歯周病の人はそうでない人と比較すると、亜鉛欠乏になっているケースが多く、亜鉛も歯周病の治療に使える。さらにラクトフェリンが歯周病菌の増殖を抑制することも認められている。

唾液の減少、虫歯や歯周病に

口腔内の乾燥も加齢によって起こりやすくなるが、唾液量が減り乾燥すると口腔内の洗浄能力は低下する。これは口腔内の抗菌物質が加齢とともに減っていることを意味する。

唾液の量が減少すると、唾液の量に依存する多くの成長因子(EGF、NGF、BNDF)も減少する。その結果、虫歯や歯周病になりやすいだけでなく、消化吸収能力が低下し、免疫力が低下し、滑舌が悪くなる、義歯の安定が悪くなるといった問題も生じる。

歯周病抑制、抗酸化物質を減らさないことが必要

唾液の量は十分であることが望ましいが、唾液線は酸化ストレスに弱く、体内の酸化が進むと唾液の分泌量が低下する。そのため、抗酸化物質のコエンザイムQ10の摂取で唾液を増やすという研究もある。

そのメカニズムはわかっていないが、唾液を作るのにもエネルギーがかなり消費されるため、そのことと関係している可能性も高い、と森永氏。

歯周病を抑制し、唾液を十分に分泌させるためには、抗酸化物質を減らさない仕組み作りが必要となる。

これにはビタミンC、DHA 、ビタミンD、亜鉛、コエンザイムQ10、ラクトフェリンといった、複数の成分を複合的に組み合わせた口腔内専用のサプリメント設計が効果的なのではないか、とまとめた。

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