2020年4月20日(水)、web配信によりアメリカ乳製品輸出協会オンラインセミナーが開催された。この中から福田久雄氏(アメリカ乳製品輸出協会日本事務所)の講演「乳由来タンパク質の最新トレンドと世界/アジア/日本でのマーケット概況」を取り上げる。
ホエイタンパク質市場、米国が牽引
ホエイタンパク質市場、米国が牽引
今回セミナーを主催したアメリカ乳製品輸出協会(USDC)は、主に全米酪農家の資金提供で成り立つ、独立した会員組織で、会員数は115社(2022年3月現在)。
本部はバージニア州にあり、日本を含む主要市場で活動を展開している。
協会は、米国産乳製品の輸出拡大を目的に、人々や地域社会、地球の豊かさを育むことを理念とし活動している。
企業の独自調査により、ここ数年のタンパク質ブーム、中でもホエイタンパク質市場を米国が牽引していることが分かるという。
ホエイタンパク質を製造・輸出している国のトップ3が米国、EU27ヵ国及び英国、そしてニュージーランド。
米国以外の国の生産量及び輸出量は伸びてはいるが米国ほどではなく、生産量・輸出量ともに米国が圧倒的に伸張し市場を牽引している。
日本のホエイタンパク質輸入量、2018年以降急伸
コロナ禍における消費の変化や物流の変動にも動じずホエイタンパク質市場の拡大は続いており、今後も更なる拡大が推測される。
ちなみに米国からの主な輸出先の第1位がメキシコ、日本は第8位で輸出額も大きく増えている。
背景に日本のプロテイン市場の拡大がある。プロテインブームは世界的なもので、中国・日本・韓国のアジア3カ国でもプロテイン製品の成長率が著しい。
日本が米国から輸入しているホエイタンパク質の量は特に2018年以降急伸しており、2021年には日本は2.6264トンのホエイタンパク質を輸入したが、このうちの42%が米国からの輸入であった。
中国・韓国でもタンパク質ブーム
日本国内でプロテイン、タンパク質ブームが起こっているが、中国・韓国でも同じようなブームが起きている。
2021年、ホエイタンパク質を使った新商品は中国で774製品、韓国で154製品、日本では114製品が登場した。
日本の場合は、スポーツニュートリションか製菓・製パンにおけるホエイタンパク質の新製品がほとんどで、乳幼児向け商品、シニア向け商品、スナックやドリンクなどの市場はまだまだブルーオーシャンといえる。
この先、日本において中国ほどのプロテインムーブメントが起こるかはわからないが、まだまだ日本は市場開拓の余地はある。しかもプロテインブームは一過性のものではなくこれからも安定的に市場を広げていくだろう、と福田氏。
十分な供給力と更なる市場成長力
一方、今後ホエイタンパク質の供給は足りるのか?ということも関連業者から懸念の声が上がっている。
これについては、米国にはまだまだ成長する余力があり、十分な供給だけでなく更なる成長力も兼ね備えている、と福田氏。
さらに米国にはホエイ以外の乳製品の輸入も期待できるのではないかと話す。なぜなら米国の乳製品は栄養価や機能性が優れ、近年では生産者たちが持続可能な製造に取り組み、消費者にとって魅力や訴求ポイントが多いからだ。
日本において乳製品やホエイプロテインを使った市場開拓はまだまだ余地があり、新製品の開発なども協会でサポートできることをしながら取り組みたいと今後の抱負を語った。