リンゴの42倍、強力な抗酸化作用で注目。大腸菌、黄色ブドウ球菌などに強い抗菌作用
オレガノはシソ科の多年草で、学名はOreganum vulgareといいます。オレガノという名は、「山」を意味するギリシャ語の“oros”、「喜び」の“ganos”に由来します。”山腹や丘を一面に美しく飾る”ものとされ、「山の喜び」を表しています。
オレガノはヨーロッパやアジアに広く生育しますが、現在は世界中で栽培されています。ヨーロッパ産のオレガノに加え、ギリシャオレガノ、メキシコオレガノなど数種あります。
オレガノは、古代ギリシャやローマでは新婚カップルの冠にも用いられました。フランスでは石鹸に、またドイツではソーセージのスパイスに使われました。
オレガノは、スパイスの代表格としてピザを初め、数多くのレシピに加えられ、ハーブというより、むしろ食品として分類されることのほうが多いです。
オレガノには、ビタミンA、ビタミンC、ミネラル、豊富なクロロフィル、各種フラボノイドなどが含まれますが、中でも様々な効用を発揮する活性成分がカルバクロール、チモールです。特にカルバクロールは重要な働きをしていると考えられています。
オレガノは、抗真菌、抗ウィルス、抗バクテリアに優れ、風邪の咳、呼吸器系疾患、生理痛、頭痛、下痢や腹痛といった消化器系疾患などの緩和や予防に有用とされています。
オレガノにはrosmarinic acidと呼ばれるフェノールが最も多く含まれ、強い抗酸化作用があることが分かっています。米国農務省の研究グループが発表したオレガノと他の食品との抗酸化の比較では、オレガノがリンゴの42倍、ポテトの30倍、オレンジの12倍、ブルーベリーの4倍と報告しています。
オレガノは、16世紀の薬草学者のジェラルドが胃痛に用いたことから、薬効が認められるようになりました。アメリカでは、第二次大戦まで、使用はそれほどポピュラーではありませんでした。
オレガノの効力については1910年、W・H・Martindaleという科学者が、オレガノにはフェノールの26倍の殺菌力があることを研究で確認しています。
その後、1977年、フランスの科学者がオレガノにバクテリア繁殖を抑制する力に加え死滅させる力があるかどうかを実験。20~90種のバクテリアを使ったところ、オレガノはバクテリアをほとんど殺菌したといいます。
さらに90年代に入り、オーストラリアで行われた研究では、オレガノオイルが大腸菌、肺炎桿菌、腸炎菌、黄色ブドウ球菌、などのバクテリアに対し、強力な抗菌作用を示すことが確認されたといいます。
オレガノの有効性については、薬剤と比較しても遜色のないことが報告されています。2001年にジョージタウン大学で行われた研究では、抗生物質に対する耐性が強くなったといわれる黄色ブドウ球菌へのオレガノの有効性をストレプトマイシン、ペニシリン、バクノマイシンの医薬品と比べたところ、試験管での結果は、定量の投与で、オレガノが各医薬品と同等の有効性で黄色ブドウ球菌の繁殖を抑えたことが分かったといいます。