高齢者人口の増加でニーズ。前立腺肥大の対応ハーブとして注目
髪の毛や皮膚のシワが気になる年代になると、男性は尿意を催す回数が増えてきます。前立腺肥大症(BPH)の兆候です。現在、日本では前立腺肥大症が50歳代が40%、60歳代が70%以上とも目され、罹患者は予備軍を含めると300万人ともいわれます。
高齢化社会の到来に伴い、今後さらにこうした疾患者が増えることが予測されますが、近年、BPHの対応素材としてノコギリ・パルメットが注目されています。
コギリ・パルメットは、北米の南東海岸沿いや西インド諸島などに群生するハーブで、アメリカインディアンや移住者らによって、泌尿器管疾患の対応ハーブとして古くから使用され、現在でもドイツ、カナダ、イギリスを中心に広く愛用されています。
ノコギリ・パルメットの主な作用は、トイレに通う回数の増加、排尿時の不快感、膀胱の炎症や前立腺の肥大、などの緩和です。また、女性では乳分泌促進などの作用もいわれています。
他にも、アンドロゲン(男性ホルモン物質)やエストロゲン受容体活動を抑制することから、男女ともにホルモンバランスの調節機能を行なうとされています。また、喘息や気管支炎、風邪による咳症状緩和、食欲増進、消化機能の促進、神経組織への栄養補給などにも関与しているとされています。
Journal of the American Medical Association(1998年11月)に掲載された記事では、ノコギリ・パルメットエキスのハーブ療法に関してこの20年ほどにヨーロッパで行われた研究18件(被験者総数2千939人)を分析しています。
それによると、ミネソタ州の研究者グループが、BPH患者2千939人を調査したところ、Serenoa repens(ノコギリパルメット属植物)を使った患者は偽薬グループに比べ排尿器に関する症状が28%緩和、夜間に尿意を覚える回数の減少が25%、排尿後に器官に尿が残る割合が43%減少など、有用性が明らかになったといいます。