ロシアで、昔から民間薬としてお茶や薬酒に利用。日本でも培養に成功、研究進む
チャーガ(和名:カバノアナタケ)はサルノコシカケの一種。黒いザラついた石炭のような形状で、大きいものでは直径30cmほどあります。普通、キノコ類は朽ち木に寄生しますが、チャーガは生きた白樺に寄生し、樹皮を突き破って成長することから、優れた生命力を持つキノコとして珍重されてきました。
チャーガはかのロシアのノーベル賞作家・ソルジェニツエンが「ガン病棟」の中で、チャーガのお茶を飲む村では何世紀もの間ガンから救われてきたと紹介し、日本でも一躍知られるところとなりました。
チャーガは昔からロシアで民間薬として用いられ、お茶や薬酒に利用されてきました。チャーガの研究に関するものでは、19世紀にロシアでの薬草書や民間療法書などにみられます。ロシアの医師、F.I.イノゼムツエフ(1857-1858年)がモスクワ大学のクリニックで患者に投与したという記録があります。
また1858年に、やはりロシアの医師、E.フローベンが耳下腺癌重病患者に白樺の煎汁を与えたといいます。1862年に開かれたロシア医師会議では、医師のフルフタが”唇癌の手術なしの治療について”の論文を発表し、白樺のキノコの煎汁で唇癌が治ったことを報告します。
1945年に、ロシアでチャーガの本格的な研究が始まり、1950年にはソ連アカデミーV.L.コマロフ記念植物研究所でさらに研究が進みます。
チャーガは日本でも東北の一部や北海道でもみられます。菌糸体の培養に成功し、平成5年に開催された日本エイズ学会では、水溶性リグニンの一種にエイズウイルスへの作用が あることが報告されています。