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2013.11.11ホスファチジルセリン(PS)

脳の細胞膜の1割占める。高齢化社会の対応素材として期待

ホスファチジルセリン(以下、PS)は細胞膜を形成するリン脂質の一種。米、大豆、緑黄色野菜、魚類などに少量含まれます。人の脳の神経細胞膜の10%をPSが占めることから脳とPSとの関係がクローズアップされるようになりました。脳の神経細胞の活性化に十分なPSを食物から摂ることは難しいことから、ヨーロッパでウシの脳からPSを抽出・濃縮する方法も発見されています。

PSは1948年にフォルシュ博士により初めて化学的分離に成功、脳機能の衰えを回復させる栄養素として注目されました。PSは脳機能に作用し、認知症や児童の注意欠損多動性障害(ADHD)などに関する、3千に及ぶ学術報告書があるといわれます。ただ、老年性の記憶障害に有用性が認められるものの、アルツハイマー症の治癒については十分な確証を得るまでには至っていないといわれています。

PSは脳血液関門を通過し、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質を生産、また分泌量を増やします。これにより、神経伝達物質の化学的な作用と電気信号がニューロン間でスムーズに行われ、情報伝達システムが高まります。そのため、初老期に達していない人でも、記憶力の保持や増強が期待できるとされます。

1992年にイタリアの研究グループが、イタリア北部にある23の老人医療施設および一般医療施設から494名を選び、PSと偽薬を投与し、治療前、3カ月目、6カ月目に記憶力や学習能力など認識能力を測定したところ、PSを摂取したグループは行動および認識力で顕著な向上が見られたという報告があります。

また、1992年にバンダビルト大学のクルーク博士らが55歳から85歳のアルツハイマー病患者55名を対象に、12週間、患者にPSまたは偽薬を与え、研究開始時と3カ月ごとに検査を行ったところ、記憶力が向上し、初期のアルツハイマー病患者に対しては効果がみられたと報告しています。

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