グルタミン酸、アスパラギン酸などアミノ酸が豊富。約60種類の藻の中でも、高いウイルス増殖抑制
アカモクは日本の海岸地帯に広く分布し、ギンバンソウ(北陸)、ギンバソウ(山陰)、ギバサ(東北)など地方によってさまざまな呼び名があります。アカモクの学術名はSargassum horner C. Agardh。ホンダワラ類の一種で、春から初夏にかけて先端の尖った細長い円柱形の生殖器を作る。アカモクの名前の由来は老成すると赤褐色になるところからきています。
アカモクは盤状の根(不完全ながら僅かに分岐)を持ち、葉の緑辺は鋸(ノコギリ)状の深いギザギザの切れ込みがあります。また短い棘があり、茎には溝のようなものが縦に走っています。生育地帯は低潮線から漸深帯付近で1~2mに成長し、群生します。
栄養価については、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、アラニンなどのアミノ酸が豊富。またビタミンA、Cの他、カルシウム、鉄、ヨウ素などミネラルを多く含みます。
また、アカモクは、他の海藻類と同様、カロチン、タウリン、n-3系およびn-6系多価不飽和脂肪酸、セレン、亜鉛、ヨウ素などのミネラル類、食物繊維なども多く含みます。 これにより、コレステロール低下、動脈硬化、糖尿病、高血圧、貧血、甲状腺障害、性機能障害、骨粗しょう症、便秘、美肌などの改善に有用とされています。
平成10年3月、京都で開催された「第118回日本薬学会」(国立京都国際会館)で富山医科薬科大の研究グループが、能登半島沿岸などから抗ウイルス作用のある藻を探し、約60種類の藻を採取、とくにアカモクについては、試験管内培養の単純ヘルペスウイルスにアカモクの熱水抽出エキスを与えたところ、ウイルス増殖抑制効果がみられたと報告しました。
アカモクに多く含まれるグルタミン酸、アスパラギン酸は「旨み」成分として知られるが、加熱により味が落ちるため利用度が低いとされていました。しかし、ここ数年、素材の特性を生かす技術の発達により、味の劣化を防ぎ、健康にも良い機能性素材として開発が進んでいます。
今後アカモクの健康利用が期待されている中、日本でアカモクが群生し安定した収穫が期待できる三陸海岸に、平成10年6月岩手アカモク生産協同組合(岩手県下閉伊那郡)が設立されました。平成11年には富山医科薬科大の研究グループとの協同研究を行うなどアカモクの応用化が急ピッチで進められています。