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2013.11.11ルンブルクスルベルス

地球太古の生物、血栓症治療薬に勝る作用。中国でミミズは「地龍」と呼ばれ、解熱作用で知られる

ミミズは環形動物門毛足綱貧毛目に属し、その種は3,000にもおよぶ。4,5億年前に地球上に出現したともいわれ、存在期間は恐竜より長い。「種の起源」で知られるダーウインもミミズの研究に専心し、1881年にミミズに関する論文を著わしている。

ミミズは牛糞や豚糞といった土中の畜産廃棄物や老廃物を食べ、糞土の悪臭除去や土壌の改善を行う。また、自らが肥料にもなる。 中国最古の医薬書「神農本草経」にも、ミミズの効用が記されている。中国では、ミミズは「地龍」と呼ばれ、解熱などの薬理効果が知られ、酒に漬けて飲むなど伝統的に用いられてきた。日本では大正時代にミミズに含まれる物質、ルンブロフィブリンに解熱作用があることが発見され、煎じ薬として使用されている。

ミミズの中で、とくに注目されているのがイングリッシュ・レッド、ジョージアレッドの別名を持つ赤ミミズ(学名:ルンブルクスルベルス)。長さは5~10センチほどで、繁殖力が強く1年で数百倍に増える。成分的には、必須アミノ酸を豊富に含有する他、蛋白、ミネラルなど多く含む。

このルンブルクスルベルスから抽出された酵素、ルンブロキナーゼが血栓溶解に優れているとされている。韓国では、ルンブロキナーゼを血栓溶解剤として認可しており、病院でも処方されている。

ミミズの線溶活性については、ミミズの環節部分の19から50番目の位置に線溶活性があるとされ、1983年に神戸で開催の日本血液学会やストックホルムで開催の国際血栓止血学会で研究成果が発表されている。

血管壁が損傷した際、血小板が凝集し、修復して止血を行う。その際に血液中のたんぱく質、フィブリノーゲンがフィブリンに変化し、血栓を形成するが、このフィブリンをルンブロキナーゼが溶解する。

ビーグル犬を使った動物実験では、血栓を作ったビーグル犬を3群に分け、1)ミミズの乾燥粉末1グラムを生理食塩水に溶かし、上澄み液を十二指腸に注入、2)血栓溶解剤「ウロキナーゼ」を静脈注射、3)生理食塩水だけを静脈注射しておき、血栓の変化を観察した。

結果、1)は、4時間後から血流が活発になり再開通、2)は、早くて8時間で再開通、3)は、24時間で再開通、という結果となった。こうしたことから、血栓溶解剤「ウロキナーゼ」より、ミミズの乾燥粉末のほうが、血栓溶解で優れていることが明らかになったという。

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