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2014.8.5β-カロチン(カロチノイド色素)

天然カロチノイド色素に強力な抗酸化作用。600種以上のカロチノイドの有用性が期待

β-カロチンはカロチノイドと呼ばれる色素の一種。カロチノイドは、果物や野菜の赤、黄、オレンジといった色付けを行う。植物以外に、サケなどの魚、エビ・カニといった甲殻類などにも含まれている。現在、β-カロチンをはじめとして、ルテイン、リコペンなど600種以上のカロチノイドが見つかっている。

β-カロチンは主に腸でビタミンAへ転換される。そのため、プロビタミン(動物体内でビタミンに変わる物質)A、ビタミンAの前駆体と呼ばれている。こうしたビタミンAへの転換には、プロテインや甲状腺ホルモン、亜鉛、ビタミンCなどが必要とされる。

β-カロチンは、肝臓、脂肪組織、副腎、皮膚組織などに貯蔵されるが、過剰に摂取すると、肌の色が変わる柑皮症(カロチン着色皮膚症)を引き起こすとされている。

β-カロチンは強力な抗酸化作用を有し、フリーラジカル(活性酸素)を撃退することから、がんをはじめ、心臓、眼、皮膚などの疾患の予防に有用と考えられている。

オランダの研究者グループが、55歳から95歳までのドイツ人4千802人の食生活と病歴を調べた研究を分析したところ、β-カロチンの高い食生活を送った被験者はβ-カロチンの低摂取の被験者と比べ、心臓発作の危険性が45%低いことが分かったと報告している。

β-カロチンは、一時期、がんへの有効性で脚光を浴び、市場は急伸したが、肺がんについては逆に促進する可能性があるとの研究結果も出て、市場は鎮静化へと向った。

1999年1月、Journal of the National Cancer Institute誌が「イタチによる実験で、栄養補助食品のβ-カロチンを多量摂取したところ、特に煙草の影響を受けたグループとアスベスト環境にいるグループで、肺がんの危険性が増大した」と報じた。

また、1999年のNature誌(4月29日号)も「煙草の煙に含まれる発がん性物質との相互作用を行う細胞酵素の生成をβ-カロチンが高める」と報じている。同誌によると、イタリアの研究者とテキサスの研究者グループがβ-カロチンを豊富に含んだ餌をラットに与えたところ、肺にある種のがんを誘発させる酵素が増大したという。

もともとβ-カロチンのがんへの有効性が注目されたのは、緑黄色野菜を多く摂取するとがん罹患の危険性が低いという統計調査によるものだが、 これについては、β-カロチン単体の作用というより、野菜に含まれるさまざまな酵素とβ-カロチンとの複合作用によるものと専門家らは見ている。

そのため、β-カロチンはできるかぎり、野菜や果物からの摂取が推奨されている。米国American Heart Associationの栄養素諮問委員会でも、β-カロチンの抗酸化作用は認められるものの、野菜などからの自然の摂取が望ましいとの見解を示している。

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