特定非営利活動法人

HOME > 食品の機能性・学術報告 > L-カルニチン

2014.9.18L-カルニチン

脂肪燃焼、運動能力回復でアスリートに人気。細胞膜の安定性を図り、免疫システムを刺激

L-カルニチンはアミノ酸の一種で、脂肪燃焼や運動能力の向上に役立つとされ、アスリートにも人気です。牛肉などの動物性食品に多く含まれていますが、人体でも肝臓で合成されるため、不足することは少ないとされています。米国では腎臓や肝臓、心臓障害を防ぐ、また精子の増加にも良いとされ、栄養補助食品として販売されています。

L-カルニチンは、ビタミンB群に関連する動物性食品の必須成分で、主に肉類に含まれ、エネルギー生成や脂肪代謝、体重調整、乳児の滋養、脳の健康などに欠かせない役割をはたします。ヒトの体内では、肝臓で作られますが、乳児や十代までは十分な量が分泌できないとされています。

カルニチンにはL-とD-という2つの形があります。自然界に存在し生物学的に活性作用があるのがL-carnitine。D-carnitineは生物学的にマイナスに影響することから、米国内ではD-Carnitine、並びにD,L-Carnitine(2つの形をミックスしたもの)は販売禁止となっています。

L-carnitine(Lカルニチン)は、1905年に肉のエキスから見い出され、1935年に機能の研究が開始されました。その後、1952年に栄養素の研究を行っていたFraenkelが、肝臓からL-カルニチンを分離し、ビタミンBтと名付けました。さらに1958年に、細胞(ミトコンドリア)の脂肪の燃焼をL-カルニチンが高めることを発見、80年代に入ると商業ベースで一般流通するようになります。

L-カルニチンが不足すると、エネルギー生成が低下し、様々な器官に影響します。L-カルニチンの不足は、老化、身体的ストレス、過重労働、烈しい運動、アンバランスな食生活、糖尿病、絶食などが原因になります。欠乏した場合は、1日200~1000mgの補給が薦められています。L-カルニチンは米国では安全性の高い健康食品と評価されていますが、1日に6グラム以上の摂取は下痢などの症状を誘発する可能性があるといわれています。

L-カルニチンについては、脂肪燃焼作用で一躍知られるようになりましたが、実際に、肥満体の成人にL-カルニチンを補給すると、体重や体質量指数(ボディマスインデックス)、体脂肪に目立った減少があるといわれます。また、筋肉疲労物質である乳酸の発生を抑え、運動能力を高めるといわれています。L-カルニチンは、クロミウム・ピコリネートや食物繊維と共に使用するとさらに効果が高まると考えられています。

L-カルニチンの1日必要量の90%はほぼ食品から摂取することができますが、主に動物性食品が豊富な供給源となります。野菜類には微量、あるいは全く含まれないものもあるため、菜食主義の場合は補給が必要となります。肉の種類によって含まれる量は様々で、羊肉が最も多く210mg/100g、次いで子羊が78mg/100g、牛が同じく64mg、豚30mg、ウサギ21mg、トリ7.5mg、牛乳2.0mg、卵0.8mg、ピーナツ0.1mgとなっています。

最近の投稿

「食」のトピックス 2024.12.2

遺伝子発現解析技術を利用した食品成分の安全性評価

「食」のトピックス 2024.11.18

栄養・機能性飲料のグローバルトレンド

「食」のトピックス 2024.11.11

食による免疫調節と腸内細菌

「食」のトピックス 2024.11.5

地域住民におけるDHA・EPA、アラキドン酸摂取量と認知機能の関連

「食」のトピックス 2024.10.21

大豆のはたらき〜人と地球を健康に〜

カテゴリー

ページトップへ