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2015.4.20シナモン

優れた殺菌・抗バクテリア作用持つスパイス。食欲減退や消化関連への有用性

シナモンは、東南アジアの常緑樹、シナモンの樹皮から抽出した芳香性成分。特に料理の香り付けや味付けに使われますが、中国伝統医学などアジアの古代医学では下痢や風邪の治療でも利用されてきました。

中国伝統医学文献によると、その使用は紀元前2700年までさかのぼるといいます。現代の漢方薬学者も、発熱、下痢、吐き気、月経関連の症状緩和に薦めています。

またドイツの医療関連機関であるコミッションEはシナモンが食欲減退や消化関連の症状に有用であると認めています。

シナモンには多くの成分が含まれています。例えば、シンナムアルデヒド(80%)、オイゲノール(10%)、トランス桂皮酸(5~10%)、フェノール酸(4~10%)、タンニン、カテキン、オリゴメリックアントシアニジン、モノテルペン類などです。

これまでに動物を使った研究で、抗菌、抗バクテリア作用や潰瘍の治療への有効性などが明らかになっています。

例えば、胃潰瘍の原因と考えられているヘリコバクターピロリ菌や頭髪につくシラミにも有効性を発揮することが、これまでの研究で報告されています。

シナモンの抗バクテリア作用に関しては、アップルジュースにシナモンを加えるとジュースの中のバクテリアを殺すことができるという研究報告もあります。

カンサス州立大学の研究グループが、市販の滅菌アップルジュースをサルモネラ菌、エルシニア・エンテロコリティカ、黄色ブドウ球菌を使って汚染し、これにシナモンを加えた場合と加えない場合で比較しました。

1~7日間観察した結果、シナモンを加えたジュースでバクテリア濃度がかなり下がったことがわかったといいます。また、ドイツで行われた研究で、尿道感染を引き起こすバクテリアを完全に押さえ込んだことも報告されています。

また、シナモンの殺菌力は、歯科分野にも応用されています。シナモンは多くの疾患の原因になるウィルス、バクテリア、真菌などを殺す働きがあることから、「歯磨きに加えて口腔感染を予防することができる」と報告されています。

シナモンが糖尿病患者の血糖値制御に有効性を発揮することも報告されています。米農務省の研究者グループは、シナモンに含まれる成分、methylhydroxy chalcone polymer(MHCP)が、インスリンのグルコース代謝を20倍増大すると発表しています。

研究者によると、MHCPはある酵素を活性化して脂肪細胞のインスリンに対する反応を向上させるといいます。この酵素がインスリンと脂肪細胞を結合させます。また、シナモンはこのプロセスを抑制しようとする酵素を押さえるといいます。

動物を使った研究や試験管内の研究で、50種類ほどのハーブの比較では、シナモンのMHCPがもっとも強力だったといいます。MHCPはフリーラジカルの形成を抑制することも明らかになっています。

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