効用の高さから、”ホーリー(聖なる)”の名称が与えられる。強力なストレス防止効果やバクテリアの増殖抑制
古代インド医学、アーユルヴェーダの中で、重要な役割を果たすハーブ。中でも、特に高い評価を得ているのがホーリー・バジル(Ocimum Sanctum)です。昔インドを訪れたキリスト教徒が、その薬効の高さから“ホーリー”の名称を与えたともいわれています。
ホーリーバジルはインドが原産で、スイート・バジル、シナモン・バジル、オスミンパープルなど60を超す種類があります。16世紀には西ヨーロッパに伝わり、現在は世界中で生育しています。
ホーリーバジルによる治療では主に種、葉が使われます。活性成分としては、刺激的な香りの揮発オイルに含まれるテルペノイド、特にオイゲノール、チモール、エステラゴールなどが知られます。
また、カロチン、ポリフェノール、ベータカロチン、ビタミンCなどの強力な抗酸成分、マンガン、マグネシウム、カルシウム、鉄分なども含まれています。
ホーリーバジルの葉は、ストレスの緩和効果が高く、健康な被験者がバジルの葉12枚を1日2回噛むと、ストレスを防げたとの報告もあります。 1991年、Indian Journal of Pharmacology掲載の研究では、シベリア産ジンセン、アジア産ジンセンとホーリーバジルのストレスに対する有効性を調べていますが、ホーリーバジルが最も強力なストレス防止作用を見せたといいます。
また、葉には解熱作用があります。葉の抽出物を2~3時間毎に与えると、風邪やインフルエンザによる発熱を下げたという研究報告もあります。古代インドでは、葉を消化不良などの胃腸の不調緩和、皮膚疾患改善に使っていたといいます。
他にも、風邪や喘息による咳など呼吸器官関連の症状を軽減することが報告されています。息切れを起こす患者20人にホーリーバジルを500mg与えたところ、呼吸の改善が見られたといいます。
さらに、葉や種には、II型糖尿病患者の血糖値コントロールも期待されています。種は食物繊維が豊富なことから、食事後の血糖値急上昇を抑えると考えられています。種には、下剤の働きがあり、高齢者の便秘に高い有効性を発揮することが報告されています。
この他、揮発オイルには抗バクテリア、抗菌作用があり、虫刺され後の治療に用いられています。Listeria monocytogenes(リステリア菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、病原性大腸菌O-157などのバクテリア増殖を抑えることが知られています。
揮発オイル成分のオイゲノールは、酵素、シクロオキシゲナーゼ(COX)活動を阻害するとされています。この作用は、アスピリン、イブプロフェンなど市販の抗炎症薬と同じで、リュウマチ性関節炎、炎症性腸疾患などの治療でも期待が寄せられています。