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2019.10.12ゼラニウム

抗炎症、ホルモンバランスを助ける作用。インフルエンザ、帯状疱疹などへの抗感染

ゼラニウム(Pelargonium graveolens)は、17世紀頃、ヨーロッパ人が“rose geranium”と呼ばれていたアフリカ原産の多年生植物を持ち帰り、栽培したことから広がったといわれています。

その後、様々な種類との交配が行われ、現在では600種以上が存在しています。フランス人がアルジェリアおよびレユニオン島(ブルボン島とも呼ばれた)に植えたものは“ブルボン”と呼ばれています。また、モロッコや中国などでも栽培されています。

ゼラニウムは60センチほどに成長し、ピンクや赤、白といった花をつけます。古代エジプト人やローマ人は、ゼラニウムを薬草として、感染防止や傷の回復に使ったといいます。

ゼラニウムは、抗炎症作用の他、ホルモンバランスを助ける作用や体内の循環を促進、月経前症候群(PMS)の症状、重い生理の不快症状緩和などへの有用性がいわれています。

また、止血に対しても有用性が示されていますが、2003年に発表された研究では、出血しているラットにゼラニウムの葉をジュースにしたものを与えところ、治療を行わなかったグループと比べ、出血の止まった時間が50~80%も短縮したことが分かったといいます。

また、抗菌作用についても、Parmazie(1997年10月)に掲載された研究報告では、ブルガリア産ゼラニウムエキスの、インフルエンザ、単純ヘルペス、 HIV-I、ワクシニアといったウィルスに対する抗感染効果を調べました。

その結果、どのウィルスでも増殖作用を抑えたが、特にインフルエンザに対しては、効力が強かったことが分かったといいます。

同じく1999年にブルガリア産ゼラニウムでヘルペスウィルスに対する抗感染を調べたところ、根から抽出した水溶エキス(WE)は、単純ヘルペス1と2の細胞複製をかなり抑制したことが分かったといいます。

他に、気管支炎に対しても、ノースカロライナ研究者グループが、ドイツの気管支炎患者476人を対象に調べました。被験者は64%が女性で平均年齢は40.5歳で、67%が仕事のできないほどの症状でした。

治療グループには、ゼラニウムの根抽出物(11%)1.5mlを1日3回、7日間与えられ、プラセボグループと比べました。

その結果、7日目のBBS(気管支炎重症度)について、治療グループはプラセボグループと比べ低くなっていたことが分かりました(差は3.0ポイント)。治療グループの治療に対する満足度も高かったといいます。

また、帯状疱疹後の神経痛緩和の有用性についての研究報告がAmerican Journal of Medicine(2003年10月号)に掲載されています。

この研究では、帯状疱疹で痛みを訴える患者30人を5グループに分け、それぞれ(1)ゼラニウムオイル100%(2)ミネラルオイル+ゼラニウムオイル(50%)(3)ミネラルオイル+ゼラニウムオイル(10%)(4)ミネラルオイル(5)プラセボを与えました。

被験者はvisual analog scale方式で痛みの度合いを評価しました。30人中24人が研究を完了したが、その結果、自発痛の減少の平均値は、(1)~(3)グループでそれぞれ、21.3、12.7、8.0だったことが分かりました。

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