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2019.12.21チョウセンゴミシ

有毒環境から肝臓を保護、風邪の緩和や疲労回復など。中国伝統医学やロシアで、古くから効用が報告

チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)は小さくて赤い実をつけるつる性草木で、中国北部、北西部、ロシア、日本、韓国などに広く生育しています。中国名、wu-wei-zi(五味子)は“5つの味を持つ果実”という意味です。

中国伝統医学では、古くから薬草として使われており、紀元前1世紀頃の書物と考えられている、漢方医学の教本“Divine Husbandman’s Classic of the Materia Meidica”にもその名が見られます。伝統医学では、エネルギー増進、風邪の症状緩和、疲労回復などに幅広く使用されています。

チョウセンゴミシに関する研究は、1950年代頃からロシアを中心に盛んに行われるようになりました。動物を使った研究やin vitro研究など多くの研究により、糖尿病、心臓病、肝炎などの肝臓疾患、神経組織や精神疾患などの症状改善に有効性を示すことが明らかにされています。

活性成分としては、種油からリグナン類(シサンドリン、デオキシシサンドリン、ゴミシン、プレゴミシン)が抽出されています。こうしたリグナン類が肝臓や免疫保護作用を持つと考えられます。また、この他、揮発油、ビタミンA、C、Eなどが含まれています。

チョウセンゴミシの作用のメカニズムについては、抗酸化を始めとした多くの作用を持つと考えられています。

ラットを使った研究で、肝細胞内のDT-diaphoraseを増進し、有毒環境から肝臓を保護したことが報告されています。さらに、ラットにエキス10mg、25mgを繰り返し投与した研究では、シクロヘキシミド誘導健忘の拡張を抑制したことが示されています。

チョウセンゴミシの茎から抽出した、トリテルペノイド類のnigranoic acidは、in vitro研究で、HIV-1逆転写酵素の活動を阻害したといわれます。

また、シサンドリンBは様々な作用を持つと考えられていますが、その一つとして、ペントバルビタール誘導睡眠をマウスに起こしたことが明らかになっています。

1970年代、肝炎患者を対象に中国で行われた研究によると、チョウセンゴミシは、血清のグルタミン酸ピルビン酸トランスアミラーゼ(SPGT)濃度を下げる作用があるといいます。

このSPGTは肝臓に見られる酵素で、肝臓が損傷を受けると血流に現れます。1986年、中国の研究者は、様々なタイプの肝炎5,000症例がチョウセンゴミシによって回復したことを報告しています。

また、別の研究では、肝炎患者にチョウセンゴミシを20日間投与したところ、患者の75%は、上昇していたSPGT濃度が正常値に戻ったことを報告しています。

この他、チョウセンゴミシには体調調整作用があることも知られています。この作用についての研究も1950年代から見られます。

電信業務を扱う被験者を対象にしたある研究では、5~10mg/kgを与えたところ、疲労回復や送信業務の間違いが22%改善されたといいます。

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