偏頭痛や花粉症などのアレルギー症状の緩和が期待。有用成分に抗痙攣性作用や抗炎症作用
バターバー(Petasites hyblidus=西洋フキ)はヨーロッパ、アジア、北米地域の主に湿地帯に生育する多年生の植物で、2月終わりから3月にかけて咲き、紫色の花と大きく柔らかい葉を持ちます。
バターバーは、Langwort、Umbrella Plant、Blatterdockなど様々な呼び方をされます。その呼び名は、暑い夏、バターが溶けないようにその葉でくるみ貯蔵していたことが由来といわれています。
ハーブ療法で使用される部分は主に茎、根、葉です。バターバーに含まれる成分として大きな役割を果たすのは、ペタジンおよびアイソペタジンです。
ペタジンには筋肉や血管壁の痙攣を少なくする抗痙攣性作用があります。また、抗炎症作用も指摘されています。イソペタジンは、プロスタグランジン代謝にプラスの影響を与えると考えられています。
その他、バターバーには揮発油、フラボノイド、タンニン、ピロリジディン・アルカロイドなどが含まれています。
ピロリジディン・アルカロイドは肝臓に対する毒性が指摘されているため、その使用は細心の注意が必要とされていますが、加工過程でアルカロイドを抜いている製品の入手も可能です。
ヨーロッパなどでバターバーは古くからその薬効が認められており、ドイツでは偏頭痛治療に長く使用されています。
偏頭痛は炎症を抑えることにより症状が緩和すると考えられますが、主要活性成分であるペタジンおよびイソペタジンは、血管炎症を引き起こす物質、ロイコトリエンの分泌を抑制するといわれています。
2002年、Neurology誌に掲載された研究では、偏頭痛患者202人にバターバーエキスを1日100mg、150mgか、プラセボを与えました。
12週間の研究期間で、バターバーエキス150mgグループでは、偏頭痛の発生回数が通常より48%減少したと報告しています。100mgグループでは34%の減少、プラセボグループでは26%でした。
また、2000年Headache誌で報告された研究では、偏頭痛患者58人にバターバーエキス50mgか、プラセボを1日2回、12週間与えたところ、偏頭痛発生回数がバターバーグループで50%減少したことが分かりました。プラセボグループでは10%だったといいます。
また、バターバーの活性成分はアレルギー反応を引き起こす原因のヒスタミン分泌を抑制する働きも報告されていることから、花粉症などのアレルギー性疾患治療および症状緩和が期待されています。
2002年、International Journal of Immunopharmacologyに掲載された研究では鼻炎アレルギーのある患者にバターバーエキス16mgを1日3回与えたところ、5日後にはヒスタミン濃度が65%低下したことが分ったといいます。