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2019.1.23機能性表示食品制度の最新動向~第37回健康博覧会セミナー

2019年1月23日(水)~25日(金)、東京ビッグサイトにて「第37回 健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、三生医薬㈱の講演「何が起きている?機能性表示~機能性表示食品制度の最新動向をお伝えします」を取り上げる。

ハードルが高い制度、企業や消費者に信頼

2015年4月に機能性表示食品制度がスタートして丸3年が経過し、もうすぐ4年目を迎える。制度スタート当初から、受理を目指すすべての企業にとって、受理までの手続きは極めて煩雑で決して容易なものではなかった。

しかし、ハードルが高い制度だからこそ、企業や消費者に信頼され、今後も期待値の高い制度に成長しつつあるといえる。

また、ニーズの高まる健康食品において、「機能性を謳いたい」「広告で効果をアピールできる製品を作りたい」「他社製品と差別化したい」と考えたら、商品開発の選択肢はもはや「機能性表示食品制度」を活用する以外になくなってきているのが現状だ。

とはいえ、受理までのハードルは昨年あたりからより高く厳しいものになっているという状況がある。

商品リリース後も徹底調査

しかし、ここまで厳しい審査を経ても、機能性表示食品としてリリースした後に「届け出撤回」や「商品回収」となったケースもある。そうなった場合、対象企業にとっては損失があまりに大きい。

なぜ商品リリース後にも「届け出撤回」や「商品回収」といったことが起こるのか。制度スタート時から消費者庁は「(対象商品の)買い上げ調査」を徹底して行なっているためだ。

関与成分の配合量や定量法など、買い上げ調査で不備が発生しないようにするためには、機能性素材の安全性・有効性・作用機序に関する調査や書類作成が重要である。

医薬品レベルの製造・品質管理体制のもとで、品質が安定した製品を常に供給できる環境によって製品が作られることも大切だ。

「文言」の工夫で消費者に訴求

三生医薬はすでに9品目の届け出受理の実績があり、指摘事項に対するノウハウの蓄積も十分にある。

現在は製品設計から煩雑な届け出業務の代行、届け出後のフォローまで全面サポート業務も行なっているためぜひ活用して欲しいという。

またその経験を踏まえ、今「売れている」機能性表示食品のトレンドについて解説も行なった。

今、市場で人気があるのは「生活習慣病関連」と話す。昨年、「生活習慣病関連」の中で「尿酸値を下げる」が登場し、ヘルスクレームでも関与成分で話題となった。

ただ、「生活習慣病関連」で今から商品をリリースするのはかなり「後発」で、ライバルが多すぎる。しかし「文言」で工夫をすることで消費者に訴求することはまだまだ可能だという。

例えば三生医薬では機能性素材「クリオイル」を「靴下を履いたり脱いだりする時の膝の違和感を軽減」という機能性が受理されている。

オキアミ由来の素材であるクリオイルにはいくつかの効果・効能が期待できるが、臨床試験で「膝関節の痛みの緩和」の有用性が明確に確認できていた。

しかし「膝関節」では、すでに軟骨成分の「グルコサミン」の認知度が高く、通常の表現では勝てない。そのため「靴下を履いたり脱いだりする時の膝の違和感を軽減」という特殊な表現に踏み切った。

こうした文言の工夫とインパクトのあるパッケージにより消費者に十分訴求でき、売上も堅調に伸ばしているという。

「文言」「成分」「形状」「剤型」などで差別化

また、「ストレスケア関連」も人気が高いが、すでによく知られた機能性成分である「DHA、EPA、アラキドン酸」の組み合わせにて「前向きな気分を維持する」で受理され、注目されている(サントリー㈱)。

他にも「歩行能力の維持に役立つ」、「ほこりやハウスダストによる目や鼻の違和感を軽減」といった機能性は消費者と商品のコミュニケーションを密にする事例といえる。

また、ダブルヘルスクレームにも注目が集まっている。㈱エバーライフでは「目の調子を整え、認知機能を維持する」という商品が受理されている。ライオン㈱では「筋力の維持と関節サポート」を訴える商品が受理されている。

受理された商品数も増え、差別化が難しいと届け出に難色を示す企業もあるが、「文言」「成分」「形状」「剤型」などでまだまだ差別化を図ることは可能である。

関連企業こそが、この制度を盛り上げ、育てていく必要があるのではないか、とまとめた。

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