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2021.1.27機能性表示食品、コロナ時代のマーケティング戦略~健康博覧会2021セミナー

2021年1月27日(水)~29日(金)、東京ビッグサイトにて「健康博覧会2021」が開催された。同展示会セミナーから、渡邉憲和氏((一社)日本食品エビデンス協会 理事)の講演「機能性表示食品で絶対抑えるべき届出受理のポイントとWith/afterコロナ時代のマーケティング戦略」を取り上げる。

機能性表示食品制度、年々厳格化


2015年4月よりスタートした機能性表示食品制度は、すでに3,673品が受理され、制度としては順調に活用されている。

しかしながら消費者庁のから事業社への不備指摘や受理そのもののハードルは年々厳格化されている。

またガイドラインも頻繁に改訂されるため「以前は通ったのに今回は通らなかった」ことも頻発し、100~200程度の商品が届出撤回になっている、と渡邉氏。

2020年4月からは「事後チェック」が施行されているため、エビデンスの見直しや広告のチェックなどもこれまで以上に自主的かつ積極的に取り組まなければならない。

制度としては透明性の高いものに近づいているが、事業社としては「参入のハードルが低い」とは決していえないのが現状だ。

医薬品的効果効能や広告表現の誤認で指摘

機能性表示食品の届出で一番多い不備指摘は「誤字脱字」を含めたケアレスミス。これについては訂正して申請すれば受理されるため大きな問題ではない。

次に多いのが、「エビデンスの結果」に関する指摘がなされた場合(具体的にはエビデンスが足りない、エビデンスそのものが不備といった指摘)は、届出そのものを継続するか中止するかという大きな決断に迫られる。

さらに多いのが「表示しようとしている機能性」と「エビデンスの結果」が一致していない、というケースである。

エビデンスが十分でも機能性の表示が医薬品的効果効能に該当したり、パッケージや広告表現が誤認を与えるようなものだと、消費者庁から厳しく指摘されてしまう。

近年はエビデンスチェックも徹底しており、例えば使用したSR(システマティックレビュー)の被験者の年齢が20代~30代であるのに、全世代に機能性が有効であるような表現がされていると指摘される。

あるいは試験が10mlで行われているが、商品の1日の摂取量が10mlに満たない場合なども当然だが指摘され、とにかく「しっかり細かくチェックしている」のが現状、と渡邉氏。

また、近年はアレルギーや尿酸値、認知機能など、に関する届出も増えているが、これらに関する臨床データの考え方も消費者庁から明示されている。

例えば、「目・鼻のアレルギー反応」については「アレルギー治療薬を時々服用してる軽症者域とアレルギー治療薬を服用していない健常者域の両方を論文データに使用することができるが、健常者がおおよそ半分であること」と定められている。

また、認知機能であれば「MCI域を含む境界域と健常域の論文データが使用可能であるが原則40歳以上」と定められている。

エビデンスを作っていくにあたり、このような細かな規定もしっかり確認しながら最終製品を用いた臨床試験等を進めていく必要がある。

コロナ時代の今、機能性表示食品のニーズが増加


これまで不可能とされてきた免疫機能に関する機能性表示食品が昨年登場したことも話題となった。コロナウイルス収束の目処が立たないことから現在も多くの企業が「免疫」での受理を目指している。

しかし、免疫指標となるマーカー変化に加え、体調に関する主観的な指標、体調に関する特定部位の指標など、最低でも3つ以上の指標でエビデンスを作らなければ受理は厳しい。

コロナ時代の今、機能性表示食品のニーズは明らかに増えている。ひまわり生命による健康意識調査などの結果などでも、私たち一人ひとりの健康に関する意識は以前より高くなっていることが報告されている。

マーケティングを「狩猟型」から「農耕型」に

さらに、健康食品を選ぶ際、「効果効能」だけでなく「原料」や「含有成分」「摂取目安量」なども以前より気にする消費者が増えている。

しかも購買のきっかけは、テレビやラジオ・新聞などのメディア情報ではなく、ネット上の売れ筋情報や口コミサイトなどに推移していて、業界としてもマーケティングを従来の「狩猟型」から「農耕型」に変えていく必要がある。

農耕型マーケティングとは、企業の社会的価値や顧客の体験価値を全面に与えることでファンを作っていく手法である。

機能性があり、効果効能が得られるだけでなく、消費者が共感するストーリーがあり、購入者が購入者だけでなくその人の大切な人にまでも勧めたくなるような商品をブランディングしていくことが大切ではないか、とまとめた。

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