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2021.4.21コロナ時代の機能性表示食品の新潮流~アイメックRDセミナー

2021年4月21日(水)、web配信により㈱アイメックRDセミナー「ポストコロナ、機能性食品開発への展望」が開催された。この中から森下竜一氏(内閣府健康・医療戦略推進事務局 健康・医療戦略参与、大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授)の講演「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の機能性表示食品の新たな潮流」を取り上げる。

機能性表示食品市場、3000億円を突破


機能性表示食品制度について、昨年はコロナ禍の中で消費者ニーズに応える「免疫」のキーワード商品が加わったことで、さらに魅力的な制度になっているといえるのではないか。

現在3900商品以上が許可されるまでに成長しており、特定保健用食品を大きくリードしているだけでなく、トクホへの申請そのものの減少傾向が続いており、業界全体が機能性表示にシフトしているといっても過言ではない、と森下氏。

現在、機能性表示食品マーケットはすでに3000億円を突破しており、さらに今後も伸びていくだけでなく、海外にも展開していくことが予測されている。

実際、各国で類似の制度が決定しており、台湾やベトナムでも検討が進められているという。

中小企業でも参入しやすい

この制度が発足した背景には「長寿社会の実現」に伴う「財政悪化」があるが、これも「老人」の定義を現行の「65歳以上」から「75歳以上」に変えるだけで、解決する問題も多い。

つまり、元気に働きたい、社会に貢献したいと考える人を増やすためにはやはり健康の維持、そのためのセルフメディケーションが必要で、この考え方の推進と実現が続く限り、機能性表示食品はやはり不可欠な制度といえよう。

各企業において、これから機能性表示食品制度に参画しようと思っている場合、それは決して手遅れでもなくぜひトライして欲しい、と森下氏。

機能性表示食品制度は中小企業でも参入しやすいように設計されている。

生鮮食品の機能性表示が期待

消費者庁のHPにアクセスし、データベースに入れば、どのようなエビデンスが利用されていて、あるいはどういったOEMが利用されているかなども一目瞭然で、これまでの経験や実績がなくてもトライできるようになっている。

特に注目して欲しいのが生鮮食品で、もっと商品数が増えていくことがあらゆる方面から期待されている。

最新のところではDHAやEPAによる「カンパチ」「ぶり」、「鶏卵」、「イミダゾールジペプチド(記憶力の維持)」の「豚肉」、「アンセリン、カルノシン(同じく記憶力の維持)」による「鶏肉」が話題になっている。

生鮮食品は商品の差別化だけでなく、高級品や贈答品などにもなり、ビジネスチャンスが非常に高い。

「事後チェック」が特に重要

さらに、トクホとは違って、エビデンスさえ揃えばダブルヘルスクレーム、トリプルヘルスクレームが可能なのも機能性表示の特徴である。

そして機能性表示の最も評価すべきところは「常に見直しがかかっている制度」である点、と森下氏。

届出をした後の「事後チェック」は特に重要で、「事後チェック」をどのように仕組み化するかが機能性表示を長く利用するための鍵となる。

最新のところでは「機能性関与成分」による「群内有意差(摂取前後)」だけでなく「複数の群間有意差」がないと届出できないなど、新たなハードルも登場しているが、制度として消費者にとっても重要なことが追加されている。

また特に「景表法」による取り締まりが厳しくなっているため、この点についてはやはり第三者機関などを活用して広告やエビデンスの妥当性の評価を受けるのが良い。

現時点での主な第三者機関は「日本通信販売協会」「日本健康・栄養食品協会」「日本抗加齢協会」「健康食品産業協会」の4団体。

こうしたところと連携すれば、何度も手間のかかる差し戻しや景表法にいきなり刺されるといったことはほとんどない。

「免疫」の機能性表示に向けて


昨年話題となった「プラズマ乳酸菌」による「免疫」の許可(プラズマ乳酸菌はpDCに働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告)について、多くの企業が現在も「免疫」でトライしたいと試行錯誤している。

しかし、やはりEFSA(欧州食品安全機関)の「免疫系ヘルスクレームの分類」を参考にしたのが成功の鍵だった。

今後も免疫の機能性表示に向けて取り組んでいくには課題が残っている。まず「指標」が難しいという点。

何を持って免疫が上がったか、調整したのか1つの免疫細胞の活性化だけでは不十分という場合も考えられる。

また「免疫力を上げる」という文言が「健康の維持増進の範疇なのか」という問題もある。「免疫を維持」「免疫をサポート」など表現にもまだまだ注目が集まっている。

森下氏が所属する抗加齢医学会でも消費者庁と連携しながらこの辺りの勉強会やガイドライン作成を現在行っている最中だという。

「新型コロナウイルスの感染予防」、景表法や薬機法に抵触

コロナの感染が鎮まらないが「免疫の維持」つまり「免疫老化」をいかに予防するかということも注目されている。

特にコロナはもちろん風邪やインフルエンザは口腔内環境が重要で、加齢に伴い口腔内環境が老化しやすいことも頭に入れておく必要がある、と森下氏。

とはいえ、「新型コロナウイルスの感染予防」等の広告表示はすでに景表法や薬機法、健康増進法などの抵触ですでに3回以上大きく注意喚起や取り締まりが行われている。

オリンピックの開催が危ぶまれる中、2025年の日本国際博覧会はこれまで以上に意義あるものにすることが求められている。

日本の機能性表示食品やアンチエイジングの最先端が世界的にも評価されるように取り組んでいきたいとまとめた。

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