特定非営利活動法人

HOME > 「食」のトピックス > 機能性表示食品、免疫の現状総括と今後

2021.9.1機能性表示食品、免疫の現状総括と今後~アイメックRDセミナー

2021年9月1日(水)、Web配信にて「第5回 株式会社アイメックRD 業界研究セミナー」が開催された。この中から森下竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授)の講演「機能性表示食品届け出制度における免疫の現状総括とこれからについて」を取り上げる。

機能性関与成分トップはGABA


機能性表示食品制度はかなり認知され、現時点での特定保険用食品は1074件、対して機能性表示食品は3905件が認可されている。

しかもそのうち生鮮食品が105件で、制度としても優れたアドバンテージになっている、と森下氏。

現時点で「表示されている機能性のトップ9」は「脂肪(体脂肪、内臓脂肪、中性脂肪などを含む)」が1082件、「糖(吸収を押さえる、血糖値の上昇を緩やかにするなど)」が578件、「整腸・便通改善」が472件、次いで「血圧」「疲労感(目の疲労感は除く)」「認知機能・記憶力」「目」「睡眠」「ストレス」と続く。

また「機能性関与成分トップ6」については、GABAが466件、難消化性デキストリンが373件、乳酸菌・ビフィズス菌類が292件、DHA(EPA含む)が233件、ルテイン(ゼアキサンチン含む)が170件、イチョウ葉由来が132件で、これまで断トツで多かった難消化性デキストリンをGABAが抜いた。

生鮮食品82件の届出状況については、82件のうち77件の農産物は「GABAが含まれる血圧が高めの方の血圧を下げる機能」がある「みかん」などが中元・歳暮などの贈答品用として高い人気を誇っている。

制度は常にアップデートされている

また農産物・水産物の5件については、「カンパチ(DHA・EPA)」「ぶり(DHA・EPA)」「鶏卵(DHA・EPA)」「豚肉(イミダゾールペプチド)」「鶏肉(アンセリン・カルノシン)」。

この制度は常にアップデートされているが、中でも大きな成果の一つとされるのが「平成30年度 軽症者データの取り扱いに関する調査・検討事業」。

これまで「曖昧だ」と事業者から指摘されていた3領域(アレルギー・尿酸・認知機能)の軽症者のデータの扱いについて、対象被験者、評価指標及び機能性の確認方法等の検討・調査が行われ、平成31年にはそれぞれの軽症者の扱いがはっきりとした形でガイドラインでも改正された。

よってこの3領域で届出を考えている事業者は届出をトライしやすくなった。

消費者庁に「ヘルスケア表示指導室」新設

また「事後チェック指針」が発表され、それに伴い消費者庁の中には「ヘルスケア表示指導室」が新設され、ここが事後チェック指針の運用を行っている。

他にもヘルスケア表示指導室は景表法の執行を行なったり、業界団体と連携し、機能性表示食品の公正競争規約の相談対応や、健康食品全般のインターネット監視事業の企画・立案などを行い、第三者機関と連携している。

事業者はこのあたりの動向も学びそれぞれの窓口を活用することで、差し戻しや却下などのやりとりを極力少ない回数で届出受理まで持っていけるのではないか、と森下氏。

免疫関係、欧州食品安全機関(EFSA)を参考に


免疫関係については、欧州食品安全機関(EFSA)を参考にすることで突破できる可能性が高い。キリンホールディングスのプラズマ乳酸菌の事例から多くの事業者がこのことを検討している。

EFSAでは免疫の表示について「免疫機能に関するヘルスクレーム」と「感染某業に関するヘルスクレーム」の2つに分類している。

「免疫機能に関するヘルスクレーム」についてはさらに「免疫機能に必須成分」と「免疫機能に必須とは言えない成分」に分類。

特に「免疫系・消化管、病原性微生物に対する防御に関わる健康強調表示のための科学的要件に関する手引書」を作成している。

これらの要件を参考にすると、メカニズムの明確化・免疫マーカー等の免疫指標の有効性の確認・症状の発症率等のクリニカルアウトカムの有効性確認が必要といえそうだ。

つまり、何を持って免疫力が上がった、何を持って免疫を調整しているといえるのか、免疫細胞の活性化だけでは不十分である可能性が高い、と森下氏。

抗加齢協会でガイドラインを発表

そこで抗加齢協会ではガイドライン「免疫関係の機能性表示の科学的根拠に関する考え方について」を先日発表した。

「現在受理されている樹状細胞の活性化に加え、食細胞活性、NK細胞活性、T細胞増殖性・活性、分泌型IgA抗体濃度なども免疫指標として有用であるし、これ以外でも構わないが、これらの免疫指標が複数動いていることが望ましい。

さらに局所および体全体のクリニカルアウトカムが合理的に説明できれば免疫全体を調整していることの根拠になり得る」といった趣旨の考え方をHPで公表している。

現在免疫に関するデータを持つ成分には各種ビタミン・ミネラルのほか、ビフィズス菌、ラクトフェリン、プロポリス、ユーグレナ、還元型コエンザイムQ10、アスタキサンチンアドがある。

免疫調整の機能性表示食品の登場が期待

コロナウイルスの感染予防とすると景表法や薬機法に抵触の恐れが高いが、それでも免疫の調整に関与する機能性表示食品の新たな登場が期待されている。

抗加齢協会は業界団体として消費者庁が主催する本制度のワーキングクループ等にも参加し、豊富な知見を持って届出の事前点検やコンサルティング、SRの作成などの事業も行なっている。

こうしたものを活用しながら、さらに制度を盛り上げていくために事業者と連携しつつ取り組んでいきたいとまとめた。

最近の投稿

「食」のトピックス 2024.4.17

玄米の機能性と加工利用について

「食」のトピックス 2024.4.15

アスタキサンチンその研究史、自然界での機能、注目される生理活性

「食」のトピックス 2024.4.8

CDBビジネスと関連法規

「食」のトピックス 2024.3.27

「あなたの健康を左右する食の選択~日本の農産物を活用した食品機能研究」

「食」のトピックス 2024.3.18

健康食品市場の動向

カテゴリー

ページトップへ