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2021.9.25第四次食育推進基本計画、コロナ禍における新たな栄養指導~第23回ダノン健康栄養フォーラム

2021年9月25日(土)、Web配信にて第23回ダノン健康栄養フォーラム「コロナ禍における新たな栄養指導の実践」が開催された。この中から清水正雄氏(農林水産省 消費・安全局消費者行政・食育課)の講演「第四次食育推進基本計画」を取り上げる。

農水省、2005年に「食育基本法」を制定


「食」とは「生涯にわたり健全な心身を培い、豊かな人間性を育む」もので、これにより「健康寿命の延伸」を目指す。

健全な食生活は、食糧を提供する様々な事業者、地域、自然、文化、社会経済といった大きな社会システムの循環により育まれる。この「食の循環」をより良いものに高め、維持していく必要がある。

こうした概念から、2005年に農林水産省は「食育基本法」を制定。「食育とは生きる上の基本であり、知育・徳育・体育の基礎となるべき」として「食育」を具体的に位置づけた。

そして、食育により、食に関する知識だけでなく「食を選択する力」を国民一人ひとりが習得し、健全な食生活を実践できるよう推進してきた。

この基本法に基づき、各都道府県や地方自治体は食育推進計画を作成し、国民一人ひとりが食育を意識し実行できるようさまざまな取り組みを行なっている。

食育基本法は5年ごとに改定が行われ、現在は第四次食育推進基本計画(令和3~7年度)を実施している最中である。

和食、健康的で持続可能な食生活

現在の食をめぐる課題としては「生活習慣病の予防」「高齢化による健康寿命の延伸」「成人男性の肥満」「若い女性の痩せ問題」「高齢者の低栄養」などがあるが、第三次計画から引き継がれ、いまだ解決できていないものもある。

また新たな課題として、「カロリーベースの自給率の改善」「食品ロスの削減」「地域や伝統食の継承」「コロナによるニューノーマルへの対応」「SDGsへのコミット」などがある。

特に、食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで66%に対し(2019年)、食品ロスは推計で600万トンとされる。この食品ロスは世界的にも解決しなければならない問題となっている。

今、世界各国で地球環境が持続できる範囲内で健康的な食事を提供していく必要があると考えられるようになっている。

こうした背景の中、「伝統的な食事や食生活」は健康的で持続可能な食生活のモデルになるものが多く、特に和食は注目されている。

第四次食育推進基本計画の目標と目標値

こうした全体像がある上で、第四次食育推進基本計画における重要な視点は以下の3つ。

その3つとは、「生涯を通じた心身の健康を支える食育を推進」「持続可能な色を支える食育の推進」「新たな日常やデジタル化に対応した食育の推進」である。

この3つの視点による食育を推進していくことはSDGsに貢献することと一致するため、SDGsの推進にも寄与する。

さらに第四次食育推進基本計画における目標及び目標値については新たに以下のことが追加された。

  • 栄養教諭による磁場産物を活用した食に関する指導の平均取り組み回数(月12回以上)
  • 食塩摂取量の平均値を減らし(10.1gから8g以下へ)、野菜摂取量の平均値を増やし(350g 以上)、果物摂取量100g未満の者の割合を減らす(30%以下)
  • 産地や生産者を意識して農林水産物・食品を選ぶ国民の割合を増やす(80%以上)
  • 環境に拝領した農林水産物・食品を選ぶ国民の割合を増やす(75%以上)
  • 栄養教諭による磁場産物を活用した食に関する指導の平均取り組み回数(月12回以上)
  • 郷土料理や伝統料理を月に1回以上食べている人の割合を増やす(44.6%→50%)

「みどりの食料システム戦略」と連携

さらに持続可能な食育を推進させるために「みどりの食料システム戦略」との連携も重要だ、と清水氏。

みどりの食料システム戦略とは 日本国内の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するために検討されている戦略である。

これを中長期的観点から調達、生産、加工・流通、消費の各段階の取り組みとカーボンニュートラルなど環境負荷軽減のイノベーションを推進していくことが令和3年5月に農林水産省から発表されている。

この戦略では2050年までにCO2ゼロエミッションの実現や化学農薬の使用量の50%低減、化学肥料の使用量30%低減などを目指す。

最新の食育活動や知見の確認を

また、新たな日常において食育を確実に実施できるようにICTなどのデジタル技術を有効活用した効果的な情報発信を行うなど、デジタル化に対応した食育を推進することも重要となる。

自宅での料理や食事が増え、ほとんどの人が食生活を見直しているため、この機会に食に関する意識を一層高めるよう全国食育推進ネットワークなどを活用し最新の食育活動や知見を確認してほしい、と清水氏。

持続可能な食育の推進を実現させるために国民一人ひとりが環境の持続に配慮した食品を選ぶなど、行動変容を起こして欲しいとまとめた。

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