特定非営利活動法人

HOME > 「食」のトピックス > CDBビジネスと関連法規

2024.4.8CDBビジネスと関連法規健康博覧会2024

2024年2月19日(月)〜3月4日(月)オンラインにて、食品開発展プレゼンフォートナイト2024冬が開催された。ここでは(一財)生産開発科学研究所による「アスタキサンチンその研究史、自然界での機能、注目される生理活性」を取り上げる。

ソレイユ法律事務所 弁護士 小池 章大

CDBとはカンナビジオールのことで、大麻草から取れる成分の一つだ。この成分はセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質に影響を与えることが確認されており、鎮静作用を中心に抗不安作用、抗てんかん作用、神経保護作用、血管弛緩作用、抗痙攣作用、抗虚血作用、抗がん作用、抗菌作用、抗糖尿病作用など、有益な機能が相次いで確認され、米国を中心に注目を集めている。ちなみにCBDは経口摂取だけでなく経皮吸収でも効用が得られるため、化粧品への利用も多い。

日本でも急速に市場を拡大していたCBDであるが、昨年末「大麻に似た成分が入ったグミやクッキーを食べた若者が相次いで体調不良を訴える」騒動が大きく報じられ、規制対象になったグミと類似した成分を含む38製品について、店舗やインターネットでの販売を厚生労働省が禁じた。これによって順調に売り上げを伸ばしていたCDB市場が、現在は足踏み状態となっている。しかし昨年12月に「大麻取締法改正」が国会で可決され、再び市場が拡大することが予測されている。

CDBは大麻草の種子から抽出される成分で、日本に輸入できるCDBはあくまで種子から抽出されたものに限定されている。大麻草の成熟した茎、または種子以外の部位(葉、枝、枝、根等)から抽出・製造されるCDBもあるが、これらは「大麻」に該当し輸入することができない。また抽出部位を問わず、大麻由来成分であるTHC(テトラヒドロカンジナビオール)を少しでも含有するCDB製品を輸入することもできない。THCはマリファナの主成分で、脳神経を活性する作用があるため、日本を含む多くの国で規制されている。日本ではそもそも大麻の栽培そのものに許可が必要で、しかも大麻を生産している農家は非常に少なく限られているため、当面CBDは輸入に頼るしかない。そのため、現状日本で流通しているCBDのほとんども米国からの輸入物であるが、輸入品が日本の法律を遵守するものなのか、関連業者は慎重を期す必要がある、と解説。

CDBを輸入する場合に注意すべき法律は大きく2つ。まずは「大麻取締法」で、次に販売時には「薬機法」「健康増進法」などを考える必要がある。現在は、輸入する際に必ず届出が必要なので、まずはこの届出申請を遵守することが大切だ。そしてCBDの製造には「フルスペクトラム」「ブロードスペクトラム」「アイソレート」の3つの手法があるが、日本ではTHCを含む可能性がわずかにでもある「フルスペクトラム」で抽出されたCBD原料や製品を輸入することができないため、これらを守ることで「大麻取締法違反」を遵守することができるという。

いずれにせよ、海外からCBD原料や製品輸入に頼らざるを得ないため、それらの安全性について輸入側は十分なコントロールができない。だからこそ輸入の際には必ず届出をする必要がある、と小池氏。万一、輸入品からTHCが検出されたとしても、届出をしておけば「意図的ではない」と判断され、輸入品は没収されても関係者が即時逮捕になることはないという。しかし、万一違法成分が検出され「届出していない」あるいは「そのことを知っていた」「意図的である」と見なされた場合は大麻取締法違反で10年以下の懲役及び300万以下の罰金に処される。さらに、すでに市場に出回っている商品が発覚した場合も全部回収となり同様の罰則が課されるという。

販売時の表示についても注意が必要だ。CBDは有効性が豊富なため、ついついさまざまな効能を表記したくなるが、化粧品であっても食品であっても決められた範囲内でしか広告表現は行えない。化粧品の場合は、ガイドラインに定められた56種類の表示内で、食品の場合は健康増進法の誇大表示の禁止事項などに注意を払わなければならない、と説明。表示の違反についても、大麻取締法違反同様、景表法や健康増進法の違反で罰則が課せられることを解説。 今後のCBDの動きとして、CBDを機能性関与成分とした機能性表示食品が登場する可能性があるのではないか、と小池氏。12月に可決した大麻改正法は、2024年度中に施行される見込みで、大きな改正点として「CBDが医薬品としての利用が可能」となったことや「栽培の規制の見直し」が含まれたことが挙げられると説明。これに伴い医薬品としての市場拡大はもちろん、国産大麻や国産CBDが実現する可能性もあると予測。海外ではすでにCBDマーケットは確立・拡大しているので、日本も同様に法遵守や市場整備への協力に努めながらマーケット拡大の波を活用してほしいとまとめた。

最近の投稿

「食」のトピックス 2024.11.18

栄養・機能性飲料のグローバルトレンド

「食」のトピックス 2024.11.11

食による免疫調節と腸内細菌

「食」のトピックス 2024.11.5

地域住民におけるDHA・EPA、アラキドン酸摂取量と認知機能の関連

「食」のトピックス 2024.10.21

大豆のはたらき〜人と地球を健康に〜

「食」のトピックス 2024.10.15

ゲノム編集食品最前線

カテゴリー

ページトップへ