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2024.8.9希少糖アルロースを利用した楽しさ溢れる食生活ウェルネスフードジャパン2024

2024年7月16日(火)〜18日(木)、東京ビッグサイトにてウェルネスフードジャパン2024が開催された。国内外の健康食品・機能性食品素材産業の業界関係者が4万人以上足を運び、活発に情報交換が行われた。

一般社団法人 希少糖普及協会会長 香川大学名誉教授 早川茂

希少糖とはその名の通り希少な糖で自然界にごくわずかしか存在しない糖の総称だ。ブドウ糖や果糖は自然界に多量に存在する。希少糖も自然に存在するが、糖全体の1%以下しかない。ただし希少糖は種類が多く、現在約50種類も確認されている。今から33年ほど前、希少糖から希少糖生産酵素(果糖を希少糖にする酵素)が発見され、香川大学が中心となって産学連携で希少糖の基礎研究がスタート。中でもアルロース(プシコース)は単糖の一種で、人が摂取すると体内で従来の糖と同じ糖代謝の仕組みに入るが、私たちの体内でアルロースはエネルギーを生み出さないため、結果としてカロリー0であり、糖を過剰に摂取しがちな現代人の健康維持に貢献できる糖なのではないか、と世界各国から注目されるようになっている、と早川氏。

アルロースなどの希少糖は普段の食事にも含まれている。しかしその量はごく微量で、アルロースに期待されているような生理機能の効果が得られるほどではない。アルロースの生理機能とは「脂肪の燃焼促進」「食後の血糖上昇抑制」「非う蝕性」「血糖、インスリン分泌への影響」の主な4つだ。

健常成人男性39名に5gのアルロース添加飲料を摂取させるヒト臨床試験を行ったところ、アルロースは軽度運動時(サイクリング)だけでなく安静時でも脂肪の燃焼を促進する作用が確認されており、すでに機能性表示食品の素材として受理されている。これは希少糖アルロースが脂肪の利用に関わる酵素や消化管ホルモン「GLP-1(通称満腹ホルモン)」を活性化し、体内の脂肪燃焼スイッチを入れるように働くからだ、とそのメカニズムを解説。また、糖尿病境界型を含む健常成人男女26名にアルロース5g添加飲料を食事ともに摂取させたところ、アルロースはプラセボと比較して有意に食後の血糖値上昇抑制作用を示し、こちらも機能性表示食品素材として受理されているという。これはアルロースが食事由来の炭水化物をブドウ糖に分解する酵素の働きを阻止し、ブドウ糖の吸収速度を遅くする働きがあるからだ。また、血中のブドウ糖を肝臓に素早く取り込み蓄えるため、食後の血糖値上昇を抑制する働きもある。ちなみにアルロースは血糖値を上昇させないだけでなく、インスリン分泌にも影響がない。さらに、アルロースは虫歯菌等の口腔細菌を増殖させず、口腔内のpH低下が起こらない。そのため虫歯の原因になりにくい糖という特徴もあると解説した。

アルロースは摂取した70%が小腸から吸収され、代謝されずに尿へ排泄される。残りの30%は大腸に到達し、その半分が腸内細菌の単鎖脂肪酸などの発酵に利用され、発酵を逃れたものは便中に排泄されていく。吸収された30%のうち、すべてではないが腸内細菌の発酵に利用されることから、アルロースの腸内細菌叢の改善作用についても研究が進められているという。しかもアルロースのカロリーは0.08kacl/g以下で、繰り上げても1にならないため「0kcal」と表示可能だ 今、消費者はより健康的である食品を求めているが、そうは言っても食品そのものが「美味しいかどうか」が購入の最大の決め手になっている。アルロースはショ糖の70%程度の甘味で、すっきりとキレが良いので後引きがなく、それでいて自然な甘さによる満足感も得られる。コーヒーや紅茶などに加えるだけでなく、食品添加物として活用した場合「澱粉の老化抑制作用」「食感改善作用」「褐変性や香ばしさ、コクのアップ」などの効果も得られ、現在200種類以上のアルロースを使った食品が展開されているという。アルロースは食品添加物ではなく食品であり、人工甘味料でもなく、多くの人にとってすでに食経験がある自然甘味料だ。1回あたりの摂取量が大量(最大無作用量は0.55/kg体重)になると、体調・体質によって一時的にお腹が緩くなることもあるが、通常の摂取では問題ないとのこと。ぜひ多くの人に利用してもらいたいと話した。

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