2026年2月25日(水)〜2月27日(金)、東京ビッグサイトにて「健康博覧会2026」が開催された。44年以上にわたり健康・美容産業のハブとして進化を続けてきた「健康博覧会」であるが、昨年の2025年は約3万人以上が来場し、今年も約460社の出展社と約3万6000人の来場が報告された。国内外の大手からスタートアップ、異業種まで多数の来場者が訪れる健康・美容・ウェルネス分野の国内最大級BtoB展示会。ここで行われた出展社セミナーの一部を取り上げる。
消費者庁食品表示課保健表示室 糸井 雄一 氏
健康食品業界に激震が走った「紅麹事案」を受け、機能性表示食品制度は今、かつてない大きな転換期を迎えている。消費者庁は令和6年、本制度の信頼性を担保するために厳格な見直しを断行。中でも、全ての届出事業者が直面する課題が1年に1回行わなければならなくなった「自己点検と報告の義務化」(令和7年4月1日施行)については多くの事業者が取り組みに直面している。現在、義務化された自己点検制度の本格的な運用フェーズに入っているが、届出表示の見直しやカプセルのGMP適用などの見直し項目などは現在経過措置期間で、今年(令和8年)9月1日より完全適用となる。改正された制度について今一度理解してほしいと説明が行われた。
制度見直しの背景は信頼回復、「実質的な更新制」へ移行
これまでの機能性表示食品制度は一度届出が受理されれば、内容に変更がない限り永続的に販売が可能であった。しかし、一部の機能性表示食品製品で健康被害が報告されたことを契機に、行政や関連団体の話し合いにより、今後は「届出後の管理」を更新制にすることが定められている。消費者庁は2025年11月に「機能性表示の自己点検等報告について」というレポートで詳細を発表しているが、今回の改正について注意しなければならない点が大きく分けて二つあると説明。一つはカプセル・錠剤等へのGMP(製造管理基準)の要件化で、もう一つが「定期的な自己点検・報告の義務化」である。消費者庁の担当者は「実質的な更新制になる」と説明。事業者は年に1回、自ら遵守事項を守っているかを点検し、その結果を消費者庁に提出しなければならない。各届出事業者が最も留意すべきは、報告スケジュールである。制度改正の経過措置に基づき、令和7年3月31日までに届出番号が付与されている全ての製品は、令和8年3月中に1回目の自己点検報告を完了させなければならない。報告の手続きは、消費者庁の届出システムを通じて行われる。システムの運用は非常に厳格で、担当者によれば、期日を過ぎた瞬間にシステム上のロックがかかり、報告の受け付けが不可能になるという。「単に忘れていた」という言い訳は通用せず、報告のない製品は即座に「機能性表示食品としての要件を欠く」とみなされ、翌4月1日以降の販売が認められず、販売が継続された場合は、食品表示法違反(指示・命令、企業名公表の対象)となると説明。
消費者庁は「去年の3月に自己点検を行なった企業は今年の3月に入ったらできるだけ速やかに報告を行ってほしい」と呼びかけている。システム混雑や入力不備のリスクを考えれば、3月末ギリギリの対応は避けてほしい、とした。
GMP要件化と自己点検の具体的な内容
特に自己点検の核となるのが製造工程の管理である。天然抽出物等を原材料とするカプセル・錠剤等の形状については、GMPへの準拠が厳格に求められる。自己点検におけるGMP遵守の確認方法について、消費者庁は「事業者による直接確認」「製造所への委託確認」「第三者機関の活用」の3パターンがある。必ずしも高額な外部認証が必須というわけではないが、届出者が「責任を持って製造実態を把握していること」が法的な要件となる。消費者庁がホームページで公開している「自己点検票」は、これらの要件を網羅したチェックリストとなっており、事業者はこれを活用して点検を行うことが推奨される。また消費者庁のGMPチームは、現在、届出されている製造施設への立ち入り検査・助言を順次行っており、今年度中には一通り回る予定だという。
科学的知見のアップデートも必須項目
今回の改正では、もう一点重要な変更がある。それは「科学的知見の更新」に対する責任だ。届出後に新たな研究結果やデータが発表され、当初の機能性表示が適切ではないと判断された場合、速やかに表示を取り止めなければならない。消費者庁はこの基準を明確化しており、科学的な妥当性が失われたまま販売を継続した場合には、行政措置も辞さない構えだ。これまでのように、SR(システマティック・レビュー)を作成して終わりではなく、常に最新の学術論文や文献をウォッチし続ける体制が届出者に求められることを意味している。
そして自己点検と並行して進めるべき項目が「表示内容の見直し」だ。こちらについてはすでに令和6年9月1日より新しい食品表示基準が施行されており、これ以降に製造される製品は新基準に適合した表示が必要となっている。現在は経過措置期間であるが、新基準への切り替えに伴う変更届出は今後激増することが予想される。事務作業の遅延による販売停止を防ぐためにも、消費者庁は「6月1日までの提出」を目安として提示している。表示の修正(見直し、パッケージの変更)と自己点検の準備を同時並行で進めることが事業継続の上で必須だ。
機能性表示食品制度は、スタート時より事業者の責任において科学的根拠を提示する「自己責任原則」に基づいて運用されてきた。今回の改正はその原則をさらに一歩進め、販売後の品質管理と科学的妥当性の検証について、事業者のより継続的な努力を義務付けるものとなっている。「自己点検報告」は、単なる事務手続きではなく、消費者の信頼を裏切らないという事業者としての義務となるので、制度の維持と発展のためにも必ず遵守してほしい、と話した。
参考サイト
https://www.caa.go.jp/notice/assets/food_labeling_cms205_251125_01.pdf

