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2013.10.18食と意識の持ち方が健康作りに大きく影響

CAMU Network 代表 藤波 襄二 氏

現在米国では西洋医療以外の医療(オルタナティブ・メディスン:代替医療)への関心が高まり、食の見直しと精神面での意識変革が急速に行われつつある。中でも食材においては日本の伝統食である大豆などの有効性の研究が進められ、またメンタルケアにおいてはスピリチュアリズムとの関わりがクローズアップされている。米国がこうした代替医療へと向う経緯などCAMU Networkのにうかがった。

藤波 襄二(ふじなみ じょうじ)

<略歴>
医学博士。東京医科大学卒業後、同大学衛生学公衆衛生学教授を経て、現在、東京医科大学名誉教授。日本ホリスティック医学協会の発足当初より10年間会長を務める。日本自然治癒医学協会会長、人体科学会会長、日本全身咬合学会顧問、日本アロマテラピー協会顧問、日本動物愛護協会評議員などを兼務。現在CAMU Networkの代表を務める。

食と意識の持ち方が健康作りに大きく影響

CAMU Network
代表 藤波 襄二 氏

— 米国で日本の食材の見直しがおきているようですが

米国では、これまで家畜の飼料として用いていた大豆に関心を寄せている

藤波:米国ではこの頃、食の傾向が変ってきており、豆腐のような大豆製品や魚など日本の食材に関心を寄せています。これまで、米国では大豆を家畜の飼料として用いてきました。以前、エルニーニョ現象で海水の温度が上がってかたくちイワシがとれなくなり、日本の豆腐の値段が上がったことがあります。かたくちイワシを家畜のエサにしていたのですが、それがとれなくなったため日本に輸出する予定だった大豆を家畜に与えたのです。

大豆は日本では重要なたんぱく源ですが、米国では家畜のエサ程度の認識です。近年日本も肉でたんぱく質を摂るようになりましたが、日本の場合は明治時代に西洋に追いつけ、追い越せということで肉食の習慣ができ、その後戦争で負けたことにより、余計追いつかなければいけないということで、肉を盛んに食べる風潮ができました。

以前、九州大学が行った疫学調査で、脳出血を起こすのは肉を食べないからだといわれたことがあります。たんぱく質が不足して、血管が切れやすくなっているというわけです。血管がもろいということは肉を食べないからで、日本人は動物性たんぱく質が不足しているからもっと肉を摂らなければいけないということをいったものですから、なおさら肉を食べるようになりました。ただ同じように肉を食べても脳出血をおこす人もいますが。

— 沖縄は日本でも長寿県ですが、肉の摂取が意外と多いですね

バランスが大切、野菜の摂りかたで持久力に大きな差

藤波:沖縄では調理の際、肉の脂を抜くということを聞きます。肉そのものが悪いというのではなく、そこに含まれている脂肪を一緒に摂ることで問題が起きるということだと思います。また肉だけでなく、野菜や海藻を摂り、食事のバランスをとることが大切かと思います。偏るということは感心しません。玄米食じゃないとだめだとか、そんなことはないと思います。

東北大学の公衆衛生の教授だった近藤先生が全国の長寿地帯を調査して、結局はバランスのとれた食事に長寿の秘訣があったということをおっしゃっています。肉ももちろん摂っていいわけですが、野菜を主にして魚と海藻を加えるといいということです。さらにいうと、野菜を摂っていないところは長生きしないともおっしゃっています。

例えば、富山県と三重県の海女とを比較した調査では、三重県の海女のほうが70歳でも元気で潜っているということです。朝5時前に起きて海に潜り、夕方に上がって畑仕事をし、家の片付けをするという生活をしているといいます。 一方、富山の海女のほうは50歳を過ぎると、息が続かなくなって潜れなくなるといいます。その差は野菜を多く食べているか、いないかということだけだといいます。

また近藤先生は芋類がいいとおっしゃっています。ジャガイモでもなんでも芋類を1日に1回は必ず食べるといいといいます。ただ、日頃の食生活で、これもだめ、あれもだめとあまり食材に気を使いすぎて、ストレスが生じるのも困ります。ある程度、適当に考えるという生き方も大切かと思います。

— 米国では食生活の見直しとともに、医療もこれまでの西洋医療から代替医療へと目を向けつつあるようですが

米国より、むしろ日本で代替医療が本流になる可能性が高い

藤波: 米国では西洋医療の行き詰まりから、それに替わる医療(代替医療:オルタナティブ・メディスン)が盛んになりつつあります。政府も代替医療を研究しているNIH(米国立衛生研究所)を後押ししていますが、まず医療費削減ということが大きな狙いだと思います。どの程度まで本気で代替医療を推進しようとしているのか疑問が残ります。西洋医学に限界を感じて東洋医学に目を向けたということであればいいんですが、単に経済効果の面だけを考えた取り組みでは、長続きはしないんじゃないかと思います。

ヒッピーから始まり、東洋思想に目が向き、ホリスティック医学を始めたのは米国のほうが先ですが、そういう流れでオルタナティブメディスンがきているのであればいいことですし、長続きするのではないかと思います。ただ、米国でそれが本流にはなることはやはり難しいのではと思います。

というのも、西洋人には従来の西洋医学があるわけですし、むしろ、それができるとするならば、それは日本ではないかと思います。地理的にも日本は西洋と東洋との中間に位置しますし、これまで西洋一辺倒できた日本ですが、今度は東を向いて混ざり合うということができるのではないかと思います。

医療で大事なことは治るかどうかということです。いかに理屈が通っていても治らなければだめです。日本は明治の初期の頃にそれを間違えました。脚気の患者を中国医学の漢方と西洋医学とで治療させて、治ったのは漢方だったのですが、治った理由を中国医学が説明できなかったのです。ところが、西洋医学のほうは治らない理由をとうとうと説明したために、それが学校教育で採用されるようになりました。学校で医者を大量生産するためには説明ができなければだめだったのです。

日本で自然発生的に代替医療への関心が高まってきた

藤波: 今日本ではこれまで西洋かぶれできた反動みたいなものから代替療法に目が向きつつあります。これは、何か目的があってということではなく自然にそうなってきたという感じです。国民医療費が30兆円になったとか、国民生活基礎調査で4分の1以上の人が体の具合が悪いとかありますが、そのために代替医療への関心が高まってきたというのではなく、西洋医療というものは基本的に違うのではないか、今までのニュートン、デカルトの路線では限界があるんじゃないか、といった考え方の変化が自然発生的に起こってきたのではないかと思います。そこがアメリカと日本との違いではないかと思います。

— 祈りの療法など、シャーマニズム的な療法も米国の公的機関で取り入れられつつあるとのことですが。

近代西洋医学確立の背景に西洋の魔女狩り

藤波: 森鴎外がドイツに留学して、日本に西洋医学を持ち帰った際、完全に宗教を切り離してしまいましたが、もともと宗教と医療とは一体でした。西洋で魔女狩りという大量殺戮の歴史がありますが、病気を治す不思議な力を持つ女性達を当時魔女と呼んでいました。病人を治療していたのはそうした女性達でした。魔法使いということで男性社会が、彼女たちから医療を取り上げたわけです。そうした今でいうオルタナティブ・メディスンという伝統医療を持ち続けてきた女性達が火あぶりにされ、それですっかりオルタナティブ・メディスンの火が消え、権力社会の男性優位の医学というものが作られ、それが今日まで続いてきたというわけです。

現実にシャーマニズム的な祈りによる療法で病気が快方に向っている例もあります。最近ではロサンゼルスの西海岸の病院で心臓疾患の患者を2つに分け、ほぼ同じような症状と年齢の近い患者400人くらいを対象に行った研究報告があります。それで片方には何もしないで、片方には宗教は何でもいいのですが、東海岸にいる聖職者に、病名と名前だけ教えて治るように祈ってくださいということで、半年か1年ほど祈りの療法を行ったところ、祈ったほうはあまり死なないという結果がでました。祈ったほうが、病気が良くなっているケースが多く、確かに効果があるということが判りました。病気治療というのは最後は霊的なところに関わってくるのではないかと思います。

— 気力で病気を克服するとか、意識の持ち方が病気治療には大切といわれますが

藤波: 「人は犬とハエに聞け」という本があります。犬でも猫でも長い間付き合っていると、お互いの意志が通じるようになるということです。ハエでもそうだといいます。自分が顔を洗う時に必ず一匹のハエが飛んできて、毎日同じ所に停まる。それでハエに話かけると、だんだん話が通じるようになるということです。蟻にもそういうことがあって、足の踏み場もないほどいた蟻に出ていってくれと話かけたところ、出ていったという話があります。またアメリカで酵母菌の研究をしている人がいて、いつもその人だけ違う結果を出すというのですね。他の人はいろんな実験をやってもうまくいかないのにその人だけ常にうまくいく。それで、どうしてとたずねたところ、その人は酵母にうまくいくよう話かけているのだと答えたというのです。

つまり細胞の一つ一つに意識があって、意志の伝達が行われているのではないかということが考えられます。ですから、がんも無理に取らなくてもいいのではないかと思います。自分の体の一部が、ちょっと間違ってがん細胞になったわけですから、元に戻すことができるんじゃないかと思います。「41歳寿命説」の著者としても知られる食養研究家の西丸震哉氏は大腸がんと診断されて、13年になるといいますが、時々、がんに「お前が大きくなって、私を殺したら、お前も死んじゃうんだから、一緒に生きていこうじゃないか」と話かけるそうです。そうすると、それをわかってがんもよくなってくるというんです。

例えば異物が入ってきた時に白血球とかリンパ球が集まってきて、それを排除しようとするのも細胞同士の意志の伝達じゃないかと思います。心が頭にあるとか心臓にあるとかいろいろいいますが、人間は足の先から指先にまで全ての細胞に意識があって、それに話かけることで、健康をコントロールすることも可能なのかも知れません。

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