歯学部に進学し、歯科医師を目指して勉学中に慢性関節リュウマチを発症した。29歳で歯科医院を開業し、多忙な治療活動を続けていた。1999年2月強い血尿を観察したことから近医の泌尿器科に入院して検査を行った。組織診にて膀胱がんと診断された。手術を勧められたが、QOLを考え拒否し、代替医療による治療を主な治療とする方法を自分自身で選択し、種々の試みをしていた。6月5日当院での治療を希望して来院した。直ちに半断食を基本とする食事療法を開始した。さらに免疫強化の目的で修飾米ぬかアラビノキシランを1日4g~5gと、血液像の改善を目的として植物性酵素食品の摂取を勧めた。治療開始から2週間で排尿時の痛みが薄れてきて、1ヵ月後の7月上旬には血尿が薄くなってきており、急速に腫瘍が縮小していることが推察された。腫瘍マーカーNMP-22(正常値10以下)が5月25日に58であったが、7月28日は10に低下した。
膀胱がんが食療法と免疫強化により短期間で縮小し、少なくとも腫瘍マーカーによる判定では喪失したと思われる症例である。年齢も若く、潜在的な自己治癒力が高かったことも劇的な改善につながったものと考える。しかし、従来の生活を続けることで再発および新しい腫瘍を誘起することが十分に考えられることから、今後の生活指導を含めて慎重な観察を続けたい。