2019年9月9日(月)~11日(水)、東京ビッグサイトで「第18回ダイエット&ビューティーフェア」が開催された。同展示会セミナーより薬事法ドットコムの講演「2019最新情報・景表法対策」を取り上げる。
景表法、無自覚のケースも多い
よく知られる薬事3法とは「薬事法(薬機法)」「健康増進法」「景表法」だが、近年は特に「景表法」に注意を払いながら、他社との差別化、広告・宣伝・表示をすることが求められている。
薬事法では、化粧品や食品が使ってはいけない文言(医薬品的効果の標榜)の使用は禁止と明確に定義されている。
一方、「景表法」は「広告や表示が本当か」が問われ、裏付けとなる明確な根拠が必要となる。
景表法の違反については自社で無自覚なことも多く、消費者庁や自治体から警告メールが来て慌てるパターンが多い。
景表法違反に「調査要求」の命令
警告メールで指摘された場合、広告をどのような媒体にどれくらいの期間掲載していたか、その間の売り上げなどの「調査要求」の命令が下る。そうしたことに、事業者は応じなければいけない。
それに対する返答の猶予は2週間ほど。日頃からコンプライアンス遵守で、広告表現に関するエビデンス(根拠)資料の準備を怠っていなければ大きな問題にはならないが、大抵は2週間で自社調査が終わらないことが多い。
その後、調査報告書を提出して1ヶ月程度で何らかの返答があることもあれば、1年くらい調査が続くこともある。期間が長引くほど監視の状態にあるため、企業としては自粛を余儀なくされ、売り上げ減などのダメージとなる。
この調査報告書の段階で終わることもあれば(ただし、先方からは何の連絡もない)、調査の結果、消費者を誤認させる表現等が認められたという場合は、「注意と修正」あるいは再度「合理的根拠提出要求」が行われる。
「行政指導」又は「措置命令」
た、悪質な場合はこの段階で課徴金について言及されることもある。「合理的根拠提出要求」が行われた場合も当然速やかに応じなければならない。
「合理的根拠提出要求」に応じた後は、「何も連絡がなく終わる」「1~2ヶ月後に注意、修正で終わる」「弁明機会を与えられる」の3つのケースがあるが、弁明によって結果が覆ることはこれまでになくほぼ「景表法違反」となり、「行政指導」か「措置命令」のいずれかが決定する。
「行政指導」の場合は、原則表には出ないが、「措置命令」一歩手前の場合はホームページに記載される。「措置命令」となった場合は公表され、返金要求や課徴金の支払い命令などが生じる他、広告が新規メジャー媒体に通りにくくなるといった多大な損害が生じる。
ちなみに課徴金制度は2016年の4月からスタートし、売り上げの3%が徴収される。また、さらに重い違反の場合は刑事罰の対象となり、これまでにも同じ広告で2回措置命令が下ったケースで刑事罰が実施されている。
臨床試験や調査など根拠となる資料作りを丁寧に
景表法違反を指摘されやすいものでは、近年は「ダイエットサプリ系」「マッサージ系」、「着るだけ」といった広告の事例がある。
この3つについては、例えエビデンスがあろうとも「認めない」方向で消費者庁は動いている。ダイエットサプリメントについては「食事制限なし、運動なし」を匂わせるようなものは特に注意が必要となる。
またマッサージなどの「施術」は薬事法適用外だが、景表法で問われるケースが非常に多いため「施術で小顔」にも注意が必要である。また着るだけで痩せる、マッチョになるというのもやめたほうが良い。
さらに2016年以降、アフェリエイト広告に関しても厳しくなっている。
「広告主が指導してアフェリエイトサイトを作った場合(=主導)」と「広告主の了承のもとにアフェリエイトサイトが作られている場合(=了承)」だけでなく、「広告主はアフェリエイトサイトの制作をアフェリエイターに委ねている(=放任)」であってもそこに虚偽誇大広告があれば景表法の責任を広告主に追い、アフェリエイターは景表法対象外としているため注意が必要となる。
景表法対策では、臨床試験や調査などによる根拠となる資料作りを丁寧に、そして前もって用意しておくことが何よりも大切。合理的根拠と広告が正しく連動していなければ、根拠がどれだけ立派でも意味がないことを頭に入れてほしいとまとめた。