2020年11月16日~18日、東京ビッグサイトにて「食品開発展2020」が開催された。この中から、村田克彦氏(和方医学研究所㈱ 代表取締役)の講演「世界のサプリメントの潮流とトレーサビリティ」を取り上げる。
和方医学研究所は長年中国湖南省に拠点を持ち、グローバルに事業展開を行う原料メーカー、オーロピュアライフサイエンス社とパートナーシップ契約を結んでいる。
オーロピュアライフサイエンス社は世界中の健康エキスポに出展しており、村田氏も毎年世界各国で開催されるエキスポに参加している。そこで今年の動向について最新の情報を紹介した。
アメリカの現状、コロナ対策サプリ
アメリカでは「ナチュラルプロダクトエキスポ」が最大の健康エキスポである。
入場料が日本と比べて倍以上するが、アメリカは国土が広いという特性上、このエキスポである程度商談をまとめる必要がある。
そのためブースにいる人も訪れる人も決裁権がある人がほとんどで、必ず何らかの成果につながるエキスポになっている。しかし、今年はコロナの影響で開催が中止となった。
アメリカでは日本の100倍以上のコロナ感染者が出ているが、その影響で現在「オリーブエキス」や「エキナセアサプリメント」が飛ぶように売れている。
また「オウギサプリメント」にも注目が集まっているが、日本では知名度が低く「専ら医薬品」として分類されているため一般的に使用することができない。
しかし漢方では20処方くらいに含まれている主要成分で、マクロファージ活性による免疫強化作用、腎臓保護作用などのエビデンスが出ている。
他にも「ローズマリー」や含まれる成分の「カルノシン酸」「ロズマリン酸」「ウルソール酸」にも注目が集まり、これらによるコロナ対策の効果等についての研究も米国で開始されている。
また、ヨーロッパやオセアニア諸国でも今年は健康関連エキスポが軒並み中止になった。
動向としては、ヨーロッパやオセアニアでは古くから健康目的で利用されているオリーブの人気が再燃しており、一般の人がコロナ対策で利用しているという。
中国の現状、免疫への高い関心
中国ではエキスポの中止はなく延期されており、直近では来月大きなエキスポの開催が予定されている。コロナの感染拡大は現状落ち着いているが、人々の抗ウイルスや免疫に対する意識は依然として高い。
そうした中、中国の少数民族の間で数百年以上前から飲み継がれている「藤茶(とう茶)」が注目されている。
藤茶は、湖南省のトウチチャ族の間では「神様のお茶」、廣西省の別の少数民族ヤオ属からは「長寿茶」と呼ばれ、主な成分のジヒドロミリセチンなどの成分がさまざまな健康効果を発揮することが最新の研究から分かってきている。
また、日本でも人気の利尿・排毒作用等で知られる「たんぽぽ茶」も人気が再燃している。
ハラルやコーシャ認証が注目
また、例えばハトムギは国内で栽培したものを国内で製造するのが理想だが、コストが合わないという現状がある。外国産では品質に安心できないという人も多い。
そこで、田村氏はコストと安全性、品質の全てを両立させるために、オーロピュアライフサイエンス社からヨクイニンパウダーを輸入するようになったという。
同社はトレーサビリティができるため信頼がおける。欧米で人気のオリーブやローズマリー素材も同社で自社栽培しているため高品質のものが安心して輸入できるという。
また、「社会貢献」や「SDGs」といった文言を企業ホームページや製品に表示することの重要性が増している。
「社会貢献」や「SDGs」に関する表記は現時点で薬機法や景表法を気にする必要もないため、多くの企業が取り組むべき、と田村氏。
ハラルやコーシャについても世界では必須の認証になっている。イスラム圏は21億人もいる。今後も東南アジアの成長は無視することができないため、特にハラル認証は早めに取り組んでいた方が圧倒的に有利ではないか。
コーシャはユダヤ教に関する認証で1億人には満たない規模だが、高いものを買う富裕層であり、米国ではコーシャの市場規模が約1兆円ともいわれるほど急成長中しているため、今から対策しておけば明らかに差別化になるのではないか、とまとめた。