目の組織、網膜やレンズに存在。年齢と共に低下、加齢黄斑変性のリスク高まる
果物や野菜の色素であるカロチノイドは、人の生命維持に欠かせない栄養素であることが近年数多くの研究で明らかになっています。その中で、目の組織、網膜やレンズに存在するカロチノイドはルテインとゼアキサンチンとされています。この2つは組織構造が類似していることから、これまでひとくくりで研究されてきましたが、最近では別のものとしてそれぞれの研究が行われています。
ルテインとゼアキサンチンは、目の網膜、特に黄斑とレンズ部分に集中しています。この部位のカロチノイド濃度は黄斑色素濃度として表しますが、加齢と共に濃度は低下し、加齢黄斑変性(AMD)の危険性が高まるとされています。 また、喫煙者の間でも黄斑色素濃度の低下が見られるといいます。
アメリカでは、AMD患者が1千万人以上おり、45万人以上が既にAMDで視力を失っているといわれています。ハーバード大学が行った研究で、ルテインとゼアキサンチン摂取の最高グループ(5.8mg/1日)は最低グループと比べ、AMDの危険性がかなり低いことが分かったということが報告されています。
ゼアキサンチンについては、Investigative Ophthalmology and Visual Science’02/11月号で、光によるダメージから網膜を守ることが報告されています。
それによると、ハーバード大学などの研究グループが、短期研究で、人の黄斑と似たものを持つ日本のウズラを使い、1)通常のエサ、2)カロチノイドが不足したエサ、3)ゼアキサンチンを豊富に含むエサをそれぞれ与えたところ、ゼアキサンチン濃度の低い網膜は光による損傷が激しく、光受容細胞の細胞死数が非常に多かったといいいます。
ゼアキサンチンは、ほうれん草などの緑色野菜、オレンジジュースやコーン、柿、ブロッコリー、ペッパーなどに多く含まれています。