血圧降下作用、精神安定作用などで注目。米胚芽由来のGABA富化素材も開発
GABA(γ-アミノ酪酸)は天然に存在するアミノ酸の一つで、無脊椎動物から脊椎動物、植物にいたるまで広く自然界に存在します。 現在、GABAは、血圧降下、精神安定などの作用で注目を浴びていますが、発見されたのは1950年。哺乳類の脳抽出液中から発見され、その後、脳髄や延髄に多く含まれ、抑制系の神経伝達物質として働き、脳の血流の活発化などに有用であることが明らかになっています。
日本では、昭和59年頃より、当時、農水省茶業試験場(現:独立行政法人野菜茶業研究所)に在籍していた津志田氏らがGABAを富化させたお茶の開発に着手。6時間から10時間の窒素ガス処理で、カテキンやカフェインといった成分の含量変動はなく、グルタミン酸がほとんど全てGABAに変わるという新タイプのお茶の製造に成功しました。
また、平成6年には農水省中国農業試験場の森、堀野氏らが米糠(胚芽含む)からのGABAの生成に取り組み、米胚芽由来のGABA富化素材も開発されました。その後、GABAを付加し、生理活性作用を高めた食品素材の開発が進められ、お茶や米、さらに健康食品などへの応用化が進みました。
これまでに報告されているGABAの主な生理活性作用としては、脳の血流改善、血圧降下、精神安定、腎・肝機能活性、アルコール代謝促進作用、消臭など。また、大腸がんの抑制作用についても期待されています。
GABA(γ-アミノ酪酸)に関する学術報告
- GABAの生理機能 その1-学習行動に対する影響(「日本農芸化学会2002年度大会講演要旨」より)
- GABAの生理機能 その2-ヒトの脳波に与える影響( 〃 )
- GABAの生理機能 その3-ストレス負荷時の神経系への影響( 〃 )
- GABAの生理機能 その4-ストレス負荷時の免疫系への影響( 〃 )
- GABA高生産乳酸菌K-3株のDNA解析(「日本農芸化学会2003年度大会講演要旨」より)
- GABAの生理機能 その5-蛋白合成能に及ぼす影響( 〃 )
- GABAの生理機能 その6-免疫能に及ぼす影響( 〃 )
- GABAの生理機能 その7-ヒト自律神経系への影響( 〃 )
- GABAの生理機能 その8-脳内ストレス防御におよぼす影響( 〃 )
- GABAの生理機能 その9-成長ホルモンの分泌及び脂肪燃焼に与える影響(「日本農芸化学会2004年度大会講演要旨」より)
- GABAの生理機能 その10-運動に与える影響(「日本農芸化学会2005年度大会講演要旨」より)
- GABAの生理機能 その11-就寝前のGABA摂取による睡眠の質改善効果( 〃 )
- GABA配合コーヒーのリラックス効果(「日本農芸化学会2006年度大会講演要旨」より)
- GABAの心身ストレスに対する効果(1)-Communication boxを用いた評価( 〃 )
- GABAの心身ストレスに対する効果(2)-経鼻吸収による影響( 〃 )
- GABA(γ-Aminobutyric acid)の慢性腎不全ラットに対する効果( 〃 )
- 若年ラットにおける食用ガンマアミノ酪酸の脳タンパク合成率に与える影響
- ヒトへのガンマアミノ酪酸(GABA)投与によるリラックスおよび免疫増進効果