加齢とともにグルコサミンが低下。膝関節に弾力性もたらす機能
グルコサミンはglucoseとamineから成る天然アミノ糖。エビやカニなどの甲殻に含まれるキチン質の抽出過程で取り出されます。
グルコサミンは、関節の重要な構成成分であるグルコサミノグリカン(GAGs=ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸など)の生成を促進します。ヒトは加齢と共にグルコサミン濃度が落ち、関節が摩滅します。グルコサミンが豊富だと、軟骨機能の衰退を防ぐことが出来ます。
グルコサミンは大きく分けて、グルコサミン・サルフェイト(glucosamine sulfate)、N-アセチル・グルコサミン(N-acetyl-glucosamine)、グルコサミン・ハイドロクロライド(glucosamine HCL)の3つがあります。
変性関節炎(OA)治療には、グルコサミン・サルフェイトが70カ国以上で採用されているといわれています。サルフェイト(sulfate=硫黄)は、軟骨の破壊をもたらす様々な酵素を抑制し、軟骨、腱、靭帯の結合組織を安定化させます。OA患者の関節液では硫黄濃度が低下していることが分かっています。
1980年代に行われたグルコサミンと偽薬との比較試験で、6週間から8週間の投与後、グルコサミン・グループは10人中8人の患者に痛みの緩和が見られ、関節のこわばりがなくなったという報告もあります。
また、1994年W・Noack研究者が患者252人を対象に行った研究で、偽薬あるいはグルコサミン・サルフェイト500mgを1日3回与えたところ、4週間後にグルコサミン・グループにかなりの症状緩和が見られたという報告もあります。
この他、Monash Universityの研究グループが、20歳から70歳の被験者46人を対象に、24人にグルコサミン・サプリメントを12週間投与、後の20人には プラセボを与え比較したところ、グルコサミン・グループの88%に痛みの緩和がみられ、一方、プラセボ・グループは17%だったと報告しています(British Journal of Sports Medicine’03/1月号)。