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2013.11.11精製ナットウ菌培養物(NKCP)

世界の200種類の食品の中で、納豆が最も血栓溶解作用に優れている

日本食が世界中で注目される中、日本人に馴染みの深い納豆の有用性が明らかになっています。Sumiらは1980年代にシャーレの中で人工血栓が納豆によって溶ける溶解作用を観察しました。さらに一般に糸と呼ばれるネバネバの部分にこの溶解作用があることを突き止め、納豆には血栓の溶解酵素(ナットウキナーゼと命名)が存在することを明らかにしました。

その後も、世界中の食品約200種類を調べるなど研究が成され、血栓溶解作用で納豆に勝るものはないことが明らかになりました。ナットウキナーゼはNHKをはじめ当時のメディアに取り上げられ一躍脚光を浴びることになります。近年では、納豆は日本国内で健康管理に欠かせない食品として定着し、海外でも好んで消費されることも増えてきました。

ナットウ菌が産生する酵素は複数種類あります(表)。ナットウキナーゼには主にサブチリジンプロテアーゼが含まれ、この酵素が血栓溶解作用を有するとして注目されてきました。ところがその後の研究で、ナットウ菌が造り出すもうひとつの酵素、バチロペプチダーゼ F(セリンプロテアーゼの一種)は、血栓溶解作用だけでなく、血栓そのものをつくりにくくする作用(抗凝固作用)、さらに血液の粘度を低下させる作用(血液粘度低下作用)も併せ持つことが明らかになりました。

明るい研究が多く行われている納豆ですが、まだまだ特有の味やにおいを好まない消費者が国内外を問わず多いというのも事実です。そうしたニーズを捉え、バチロペプチダーゼFを主とした乾燥粉末で、納豆の味やにおいを取り除いた精製ナットウ菌培養物(NKCP)が開発されました。

バチロペプチダーゼFを特徴的に含むNKCPは、ヒト臨床試験によって血圧低下作用や血流の改善、また手足の冷えを改善する事が実証されています。またヒトで安全性試験も実施済みで、機能性成分であるバチロペプチダーゼの含有量と活性を測定するための分析法(定性・定量)についても研究が進んでいます。特に定量法については簡便に測定が可能なELISAキット(図)も開発されています。

指数関数的増殖後にBacillus subtilisが合成し、細胞外へ分泌する酵素

種類遺伝子性質
Subtilisin(alkaline)
protease
aprSDS-PAGE 分子量:20kDa1)、28kDa2) いわゆるナットウキナーゼで、カゼイン分解活性や直接的なフィブリン溶解活性が確認されている。 Plasminogen activator inhibitor type 1(PAI-1) の分解不活化活性も報告されている2)
Neutral proteasenpraprと同じくメジャーな外分泌プロテアーゼ
Extracellular proteaseeprSDS-PAGE 分子量:40-34kDa
Metallo proteasemprSDS-PAGE 分子量:28kDa3)
Bacillopeptidase FbprSDS-PAGE 分子量:47kDa3)、48kDa4) 92kDaで分泌され、80kDaや48kDaへ変換されて ゆく4)。タンパク分解活性と同時に高いエステル 加水分解活性を有する5)

1)Sumiら、Experientia, Vol. 43, 1110-1111, 1987.
2)The Journal of Biological Chemistry, Vol. 276, pp. 24690-24696, 2001.
 Mol Gen Genet 1990 May; 221(3): 486-90
3)Journal of Bacteriology, Vol. 172, pp. 1019-1023, 1990.
4)The Journal of Biological Chemistry, Vol. 265, pp. 6845-6850, 1990.
5)Journal of Bacteriology, Vol. 172, pp. 1470-1477, 1990.

図)ナットウ菌産生たんぱく質測定用ELISAキット

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