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2015.10.25ローズマリー

大腸菌やサルモネラ菌などの繁殖を抑える。記憶力の改善でアロマ製品として利用

ローズマリー(Rosmarinus officinalis)は松に似た細くとがった葉を持つ常緑低木。地中海沿岸などが原産地ですが、現在は世界で栽培されています。

学名 Romarinusはラテン語で「海のしずく」を意味し、水辺に多く生育していたことからその名がついています。2メートル近くまで成育し、春の終わりから夏にかけて薄いブルーの小さな花をつけ、料理用から化粧品、薬用にと用途は幅広く、古くから様々な機会に愛用されてきました。

ローズマリーは昔から、痛みを遅らせるため肉料理に使われてきましたが、これまでの研究で、大腸菌やサルモネラ菌などの繁殖を抑えることが報告されており、食中毒予防の働きも認められています。

また、記憶力を改善させるということで、家庭でもローズマリーのアロマ製品が子どもたちの部屋によく置かれています。他に、筋肉のこわばりを和らげ痛みを緩和、育毛、生理痛緩和、循環・神経システムの促進などの作用も報告されています。

原因が不明とされている円形脱毛症患者86人の頭皮を、毎日ローズマリーおよびラベンダー、タイムなどのエッセンシャルオイルで7ヶ月間マッサージしたところ、対照グループと比べ、かなりの割合で育毛が進んだことが分かったといいます。

また、ニュージャージー州のRutgers Universityの研究グループが発表した研究報告では、実験動物の皮膚にローズマリーオイルを付けたところ、皮膚がんの危険性が半分になったことが分かったといいます。

同研究者グループはローズマリーオイルを加えたエサを動物に与える研究も行っていますが、結腸がん、肺がんの発症率がローズマリーを与えなかったグループに比べ、半分になったといいます。

イリノイ大学で行われた研究では、乳がんの危険性が高い動物にローズマリーを与えたところ、その発症率が半分になったことも報告されています。

1997年、Plant Foods Hum Nutriに掲載されたイリノイ大学による研究では、マウスのメスに、その体重によって0.3%、0.6%濃度のローズマリーエキスを4週間与え、解毒に関与する酵素、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、NAD(P)H、キノン還元酵素(QR)の肺、肝臓、胃における発現などを調べました。

その結果、ローズマリーグループは、肝臓におけるGST、QRおよび胃におけるGSTの活性化がかなり進んだ。ただ、肺のGST、QRの活性化には影響を与えなかったといいます。

1994年5月European Journal Cancer Preventionに掲載された英国の研究者による報告では、野菜、果物、ハーブ、スパイス、飲料など145種のエキスの発がん抑制作用を調べるため、マウス細胞のNAD(P)H、QRの発現を計測した。結果、ローズマリー他、豆類、赤唐辛子、レタス、グレープフルーツなどがQRの誘導物質であること分かったといいます。

さらに、1996年5月に、Journal of Nutritionに掲載された研究では、ローズマリーが化学発がん剤、7,12DMBAと乳細胞との結合を抑制したことを報告しています。

ローズマリーの勧められる1日の用量は、乾燥ハーブの場合、4~6gを超えないようアドバイスされています。重度な副作用は報告されていませんが、摂りすぎると嘔吐、悪心、痙攣などを引き起こすおそれがあるとされています。

また、妊婦、授乳中の母親の使用は避けるよう注意されています。医薬品との相互作用については、乳がん治療剤と併用するとその効果を増大する恐れがあるため、薬剤療法を受けている場合、医師への相談が必要とされています。

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