紀元前400年頃から民間療法の薬草として使用。80年代に発がん性懸念、FDAが使用中止を勧告
紀元前400年頃から民間療法の薬草として使用。80年代に発がん性懸念、FDAが使用中止を勧告
コンフリー(ヒレハリソウ)はヨーロッパからアジア地域に原生する多年草で、紀元前400年頃から薬草として使用されてきました。“コンフリー”という名はラテン語の“grow together”に由来します。
コンフリーは5月の終わり頃から10月、11月にかけて大量の葉をつけ、成育すると60cmから1mほどになります。開花は4月の終わり頃から5月の始めにかけてで、7~8月の夏場が最盛期です。
古代ギリシャ人、ローマ人はコンフリーを煎じて湿布剤を作り、止血や呼吸器系の障害、傷や骨折治療に用いていました。
コンフリー属には主に、イギリスからヨーロッパ全土、中央アジア、西シベリアで生育するワイルドコンフリー(Symphytum officinale L)、1800年頃にロシアから英国へ持ち込まれたプリックリーコンフリー(S. asperum Lepechin)、ブルーコンフリーなどがあります。
アメリカでは、プリックリーコンフリーは飼料として使われました。ワイルドコンフリーは薬草として、イギリスの移住者がアメリカへ持ち込み、民間療法の治療剤として、外傷ややけど治療、組織の腫れ、骨折に使用されました。
コンフリーの主な成分はアラントイン(Allantoin)やechimidine、symphytineなどのpyrrolizidine alkaloid、ローズマリー酸などのフェノール酸、粘液性多糖類など。中でもアラントインが細胞増殖に影響を与え、傷ややけどの回復を早めるなどの働きを行うと考えられています。
コンフリーは蛋白質も豊富で、含有量は豆類にも匹敵するほどといわれます。アミノ酸8種類も緑黄色野菜ほどではありませんが、それでもキャベツよりは多く含まれ、ビタミンB12なども含まれています。
コンフリーは内用では消化器系潰瘍、潰瘍性大腸炎、食道裂孔ヘルニア、出血、気管支炎、咳に用いられています。外用では傷ややけどの回復、骨折とその周囲の腫れの緩和などに薦められてきました。咳の緩和には葉の部位より根がよく使用されますが、その他、肺の出血などにも利用されています。
しかし、1980年代に入り、コンフリーの成分、pyrrolizidine alkaloidが肝毒性、および発がん性を持つとしてその使用を懸念する研究報告が相次いで発表されました。
研究室で行われた実験によると、コンフリーに多く含まれる成分のpyrrolizidine alkaloidがその元凶であるといいます。動物を使った研究でも、コンフリーを摂取すると肝中心静脈閉塞症(HVOD)に罹患する恐れが高いことが指摘されています。
こうしたHVODの多発報告によって、米食品医薬品局(FDA)は、2001年7月、ダイエタリーサプリメント製造業者に対して、コンフリー配合製品を市場から除去するよう勧める書簡を送りました。
アメリカ以外に、カナダでも2003年12月、政府関連機関が消費者に対してハーブのコンフリーおよびその配合ダイエタリーサプリメント製品の使用を中止するよう勧告しています。
2002年のFortschr Med Orig誌に掲載された研究ではコンフリーの抗炎症作用を調べています。あざや捻挫をおった患者にコンフリーを1日1~3回、2週間与え、有効性をみたところ、痛みや患部の動きが平均45~47%改善したことが分かったといいます。
コンフリーは現在、関節炎、潰瘍、あざ・打ち身、傷、骨折用製品、リップクリーム、皮膚疾患用クリームなどの原料に使用されています。