抗炎症、軽い鎮痛、抗バクテリア作用などで古くから利用。毒性あり、ホメオパシー療法での使用に限る
アルニカ(Arnica montana)は黄色いデージーのような花を咲かせる多年生植物です。アルニカのほかに、leopard’s bane、wolf’s baneなどと呼ばれています。
ヨーロッパおよび南ロシアを原産としていますが、北米西部で生育するものもあります。乾燥させた花の部分や地下茎、根が薬として使用されています。
北米のインディアンは、地下茎より花を好んで愛用し、民間療法で古くから、外用、内用の両方で使われていました。
近年では、毒性を含むため、ホメオパシー療法の専門家の下で利用される以外は、内用を止めるよう警告されています。
アルニカは、クリームやジェルタイプがヨーロッパではポピュラーです。1981年ドイツで行われた研究で、セスキテルペンラクトン類が活性成分として確認されています。
その他、タンニン、フュリン、アルニキン、揮発油などを含みます。また、セスキテルペンラクトンのヘリナリンは腫れを抑える作用を持つといわれています。
アルニカには抗炎症、軽い鎮痛、抗バクテリア作用があると考えられ、古くからあざや傷の回復を早めるものとして、また関節炎などの痛み止めなどに利用されてきました。
主に、お茶やチンキの形で取り入れていますが、毒性を持つため、利用する場合、数百倍にも希釈して使用するホメオパシー療法に限られています。
たとえ少量でも、粘膜を刺激して、嘔吐や下痢などを引き起こす恐れもあります。ホメオパシー療法では、癲癇治療にはX6を、また乗り物酔いにはX3が有効と考えられています。
使われる症状では、筋肉のこわばりや痛み、乾癬やにきび、虫刺されなどがあります。
ドイツで行われた研究では、静脈瘤手術を受けた患者に対する安全性、有効性を調べています。この研究では、患者60人にアルニカ(ARNICA D12)かプラセボを与えました。
投薬は、手術前の夕方に5粒から開始され、さらに、手術後2~14日は、5粒を1日3回与えています。被験者は、血腫の度合いや痛みなどが評価されました。
この結果、血腫はアルニカグループで75.5%、プラセボグループでは71.5%の減少が見られました。また、痛みスコアは、アルニカグループで、1.0+/-2.2ポイント、プラセボグループでは0.3+/-0.8ポイント、それぞれ減少したといいます。
痛みの改善に対し患者は、アルニカグループが43.3%、プラセボグループでは27.6%、良い評価を与えています。
2003年に発表されたノルウェーでの研究では、マラソンランナーの筋肉に対する有効性を調べています。この研究では、1990~1995年のオスロマラソンに参加したランナー82人を対象にしました。参加者にはアルニカ(ARNICA D30)を5粒か、プラセボを、レース前の夕方、当日、レース後3日に渡って与えました。
また、ランナーの筋肉の痛み、筋肉酵素、電解質、クレアチニン濃度などが計測、評価されました。この結果、レース直後の筋肉の痛みでは、プラセボグループよりアルニカグループの方が低かったことが分かりました。ただ、酵素による細胞損傷については、どちらも同じ評価を出しています。