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2023.8.10医食同源 心と体のバランスを整える薬膳おやつ国際おやつ研究会 第23回

2023年6月6日(木)、第23回 国際おやつ研究会がオンラインで開催された。テーマは「 医食同源 心と体のバランスを整える薬膳おやつ」。体質や体調にあった食材を選んで体のバランスを整える料理が薬膳料理であるが、薬膳の概念をおやつにも活用できる。薬膳料理研究科の谷口ももよ氏が薬膳おやつの考え方について講演を行なった。

一般社団法人 東洋美食薬膳協会代表理事 谷口 ももよ

谷口氏は10代の頃からストレスや疲労が重なると心臓に不調を感じることがあったというが、特に原因が見当たらず、さらに産後大きく体調を崩してしまったがやはり病院に行っても病名がつかないと長く原因不明の不調を感じていたと話す。そんな時に薬膳に出会い薬膳の道に進んだという。

薬膳について、多くの人は「難しい」というイメージを持っているのではないかと谷口氏。また「高麗人参などの漢方が入っている料理」というイメージを持たれる人も多いという。薬膳の定義は「東洋医学の元となる中国伝統医学に基づき、病気の予防・治療、そして健康を保つために体調や体質、天候に合わせ、食材や生薬を組み合わせて作る東洋のバランス食養生」だと説明。医学をベースにしさまざまな生薬が組み合わさって漢方薬となるが、それと同じように薬膳は食材を選び組み合わせて作られるものだという。その食材とは必ずしも生薬に限らない。実際、日本では生薬はほとんど使われていないが、生薬として使われる食材はたくさんあり、そういった食材を主に使いながら、つまり身近な食材から選んで組み合わせて作ることで「薬膳」になると話す。また、その前提として「薬食同源」という考え方がベースにあるという。薬食同源とは「薬と食材、食べ物は自然界の一物であり、薬の効能と同様に全ての食物もなんらかの効能を持っている」という考え方である。薬は病気の治療に使われるが、食事は病気の予防に使われるべきであり(薬膳)、そこにおやつが加わることで、食事の喜びと健康づくりが叶うと話す。すでに説明した通り、薬膳と言っても特別な生薬を使う必要はない。私たちがよく食べている食材の中でも生薬として使われる身近なものとして「生姜、山芋、ネギ、シナモン、黒豆、胡桃、クコ、黒胡麻、白木耳、ハトムギ」などがある。これらの食材を選んで組み合わせ、無理のない美味しい薬膳や薬膳おやつが作れることを知って欲しいと谷口氏。

特に「おやつ」の役割は子どもや高齢者だけでなくあらゆる世代の補食として重要であることから最近注目を集めているが、薬膳をおやつに取り入れた「薬膳おやつ」についても谷口氏は「より取り入れやすいのでは」と話す。薬膳おやつとは先に述べた薬膳の概念に加え「体調や職種、年齢、体格、季節に合わせ、日々の生活の合間で食事以外でのバランスU Pと心のバランスに役立つ食べ物」が良いという。おやつは食事よりも「心のケア」につながる役割や「リラックス効果」もある。東洋医学では内臓と感情は連動していると考えるが、例えば怒りやイライラが強い時には「肝臓」のケアが必要だと考え、恐れや恐怖が強い時には「腎臓」のケアが、悲しみが強い時には「肺」のケアが必要だと考える。おやつでほっとしたりリラックスしたりする時間を持つことは、気分=気の巡りをよくすることに直結し、内臓を司る自律神経系のバランスを整えることにも役立つ。薬膳おやつについてもやはり薬膳と同じように食材を選び組み合わせることが必要となるが、薬膳おやつの場合、特に「体を温める食材」と「体を冷やす食材」を頭に入れておくと作りやすくなるという。おやつにも使える身近な食材に「味噌」「砂糖」「餅米」「小麦」などがあるが、例えば、おやつ作りに欠かせない「粉」についても夏なら体を冷やす作用がある「小麦」、冬であれば体を温める「餅米」を使うだけでも養生につながるだろう。他にも体を冷やす食材として「白砂糖、醤油、ミント、緑茶、トマト、寒天、季節のフルーツ」などは夏のスイーツ素材におすすめで、体を温める食材として「生姜、黒砂糖、葛、黒豆、小豆、かぼちゃ」などは冬のスイーツ素材におすすめだとした。

他にも薬膳、薬膳おやつの考え方として、中医学で大切にしている「陰陽」のバランスを取り入れ「陰」と「陽」それぞれの食材をバランスよく組み合わせる方法や、陰陽から作り上げられた自然界の5つの不可欠な森羅万象を示す「五行」という考え方を季節に合わせて取り入れる方法もあると紹介。「五行」の考え方では季節ごとに影響を受けやすい臓器が決まっている。例えば「夏」は五行では「火」に属するので熱や汗が出やすくなり冷たいものを欲しやすくなるため、気が消耗されると倦怠感や息切れなどが起こりやすいという。そこで「水」を補うことが求められるが、潤いを与えるのは「甘み」、熱を取るのは「苦味」、汗の出過ぎを抑えるのが「酸味」であると考えられるので、薬膳おやつにも「甘みのスイカ」「酸味のレモン」「苦味なら緑茶」などを使うと良いとした。 薬膳や薬膳おやつについて、薬のように食べ過ぎたら副作用が起こるのか?という質問があったが「それはない」と谷口氏。あくまで「食」であり、プラスの効果はあってもマイナスはほとんどないので、上手に薬膳をおやつに取り入れて気軽に日々の体調管理に活用して欲しいとまとめた。

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