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2023.10.16地方発!食品機能性表示の取り組み第22回ダイエット&ビューティーセミナー

美と健康のビジネストレードショー「第22回ダイエット&ビューティー」が、2023年9月25日(月)〜27日(水)、東京ビッグサイトにて開催された。今回は「フォーカステーマ」として「温活・腸活・眠活・骨活・筋活」の「5活」に役立つものが多く取り上げられ、5活がアンチエイジングだけでなく特に女性の健康や今話題のフェム・テックに貢献するとフォーカスされていた。「ダイエット&ビューティー」だからこその美とエイジングケアに貢献する最新の学術研究発表や開発商品、地域発のジャパンメイド・ビューティーなどが一堂に会し、会場は3日間で1万6千人以上の来場者で賑わった。ここでは開催されたセミナーのうち「地方発!食品機能性表示の取り組み」を取り上げる。

一般社団法人 北海道バイオ工業会(食品機能性地方連絡会)

機能性表示食品の市場拡大にはまだまだ期待が寄せられているが、北海道・四国・九州・沖縄など各地域における食品機能性表示制度に関する取り組みにも注目が集まっている。ここでは食品機能性地方連絡会が中心となって、地方でどのような取り組みが行われているのか、3つの団体(北海道ヘルシーDo、四国ヘルシー・フォー、九州地域バイオクラスター推進協議会)から最新状況が報告された。

食品機能性地方連絡会とは、全国の機能性食品認定制度を持つ自治体などを集めた連絡会で、「地域産業の活性」を目標に日本全国の食品や農産物などを高付加価値製品として展開していくためにさまざまな施策や横とのつながりによる取り組みなどを行っている団体だ。現在その幹事はヘルシーDoの推進協議会(一般社団法人北海道バイオ工業事務局長)事務局長である三浦健人氏が務めている。

地方自治体による食品認定制度は北海道が先駆けている。これは、北海道には良質な天然資源が豊富にあり、産官学で食品機能性の研究開発に長く注力してきた背景があるからだという。2011年12月に内閣府より「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」に指定されたことがきっかけで、食品機能性表示の規制緩和や、地域独自の制度創設を自治体内で議論するようになり、現在の法規制下でも可能な仕組みを消費者庁・厚労省・内閣府等と協議し、その結果「ヘルシーDo」が誕生した。「ヘルシーDo」とは「北海道産の機能性素材で、ヒト介入試験によってその効果が検証され、査読つきの論文として公表されているエビデンスのある機能性素材を使って、北海道内で製造された加工食品を北海道庁が認定する制度だ。認定された商品には「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究があることを北海道庁が認めたものです」と表示できる。トクホや機能性表示食品のような具体的な効果効能の表示はできないが、「健康」や「北海道」という表示や認証マークによって地域の高付加価値ブランド品であることを標榜でき、該当商品はそれぞれ堅調に売り上げを伸ばしているという。近年は「機能性表示食品」とのW表記も可能となっているが、「血圧」や「睡眠」といった具体的なヘルスクレームを表記することで、購入者を狭めてしまう可能性もある。「ヘルシーDo」の「健康でいられる体づくり」という表記は、幅広いターゲットに訴求できるメリットもあると補足。この北海道の「ヘルシーDo」誕生をきっかけに、全国で地域独自の機能性表示制度によるブランド化を目指す動きが広がった。新潟市の「健幸づくり応援商品認定制度」、四国の「ヘルシーフォー」、沖縄の「Wellness Okinawa Japan」などで、各地域の動きをさらに活性化するために情報共有し、課題解決を行うため、2013年に食品機能性地方連絡会が組織され、年に3〜4回の会合開催や展示会への共同出展なども積極的に行っているという。

「ヘルシフォー」とは四国健康支援食品制度のことで、四国内で製造された食品あるいは四国内で製造された機能性素材を配合した食品の安全性・機能性に関し、科学的根拠が存在する食品であることを審査評価し、商品に表示できる四国独自の民間認証制度で、ヘルシーDoと同様、「食品の機能性を簡便に表示したい」「地域の食品のオリジナリティの高い機能性成分の付加価値を高めたい」といった狙いがあるという。機能性表示食品やトクホ商品は、すでに十分認知されているが、機能性成分も当然「全国ブランド」のものが多いという。例えば、オリゴ糖、乳酸菌、ギャバ、難消化性デキストリンなどは十分に知られているが、地方に住む人々にとっては「自分たちの町にもっと身近でもっと良いものがある」と思っているものもあるという。例えばヘルシーフォーが認証した機能性成分の中に「スダチ由来のスダチン」「栗の渋川由来のマロンポリフェノール」などがあるが、いずれも地域住民には馴染みのある素材で、それが認証マークによってより手に取りやすい、試してみようという関心を呼び起こす役割も果たしているという。機能性表示について、ヘルスクレームを強調したり、薬機法の危ない橋を渡ったりするのもマーケティングの戦略の一つではあるが、まろやかに「健康に良い」「昔から愛用されてきた健康素材です」「この地域独自の健康食材です」と標榜するだけで差別化につながる可能性は十分あり、地方の表示制度はそのあたりに貢献できるのではないか、と話した。

一方、九州地域バイオクラスター推進協議会は2007年設立され、先の事例と同様「地域食品の新たな価値の創造」のために、福岡、熊本、鹿児島、宮崎、長崎、大分、佐賀、全県の会員企業と食品機能の解明・評価、商品開発などの支援をしているが、独自の認証制度をあえて作っていない点が特徴だという。協議会スタート当初は、独自認証制度を作る方向で議論が重ねられたが、 結局は九州らしいストーリーのある商品で国のライセンス取得をサポート支援することを重視しているという。また推進協議会としてフランス企業との提携を進めたことで、九州の味噌や醤油といった発酵食品を輸出するサポートや研究といった、日仏提携事業にも力を入れているという。
保健機能食品が正しく理解され、正しく普及するには消費者の更なるヘルスリテラシーの向上が求められるが、地域独自の地域住民に馴染みのある機能性食品や機能性成分に触れる機会が増えれば、消費者のヘルスリテラシー向上に貢献できるのではないか。地域と国が連携することがますます求められているが、地方の食品機能性表示制度やそれに準ずる取り組みがさらに活性化すれば、消費者はより自分のヘルスメディケーションに役立つ商品選びがスムーズになり、機能性表示食品や特定保健用食品の更なる普及にもつながるのではないか、とまとめた。

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