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2019.4.17日本発の民間認証JFS、HACCPの制度化にも対応~第22回ファベックス展セミナー

2019年4月17日~19日、東京ビッグサイトにて「第22回 ファベックス展」が開催された。同展示会セミナーより、大羽哲郎氏(食品安全マネジメント協会 事務局長兼技術本部長)の講演「HACCPの制度化にも対応、GFSI承認日本発の民間認証JFSの最新情報」を取り上げる。

日本発の食品安全管理民間認証

食品安全マネジメント協会(JFSM)は、日本発の食品安全管理民間認証であるJFS制度を設けている。

JFSは「GMS(適正製造規範)」「HACCP(ハザード制御)」「FSM(食品安全マネジメントシステム)」の3要素で構成されている。

一般衛生管理を中心としたJFS-Aから、コーデックスHACCP実施を加えたJFS-B、国際標準を満たしたJFS-Cとステップアップできる仕組みがあることが最大の特徴である。

この民間認証制度が注目されている理由として、2018年6月に交付された「食品衛生法等の一部を改正する法律」で制度化されたHACCPにも対応していることがある。

「制度の対応はハードルが高い」と頭を抱える事業者に、この民間認証制度の活用が有効である。

食品安全マネジメント協会(JFSM)は、食品関連企業や農林水産省、大学の研究者などから構成されている。

2年の準備期間を経て「日本発・国際標準の食品安全マネジメント規格とその認証スキームを広める」ことを目的として2016年に設立された。

HACCP、日本でも義務化へ

国内で消費者が安心して食品を摂取するために食品安全に取り組むことは食品事業者の最重要課題である。

また和食を中心とした食文化の海外への輸出など展開する際に、HACCPを含む国際標準に適合した食品安全マネジメント規格を共有することは非常に大切である。

食品安全マネジメント協会(JFSM)は、そのための規格の構築や規格認証といった役割を担い、食の安全の担保や食品安全制度の合理化を進めている。

昨年2018年に食品衛生法の一部が改正され、HACCPが制度化されたことが食品事業者の間で話題となっている。

HACCPとは「危険要因分析をして、重要管理点を定め、管理して記録を取るシステム」のこと。すでに海外の多くの国ではHACCP実施の義務化が進められているが、先進諸国と比較すると日本は取り組みが遅れている。

例えば、アメリカやEUでは、国内全ての食品についてHACCAPが義務付けられている。今回の制度改正で日本でもすべての食品事業者がHACCPに取り組まなければならなくなり、特に小規模事業者で悩みを抱えているケースも少なくない、と大羽氏。

しかしJFS-の中でもJFS-B認証をクリアすれば、この義務化にも対応できる。

実際、厚労省も「JFSなどの民間認証で要求されるHACCPの要件はコーデックスのHACCPと同等の要件であることから、民間認証で作成した資料や認定証、監視の結果なども活用して良い」と回答しているという。

JFSのメリット、HACCPの義務化に対応

各事業所がJFS規格へ適合しているかどうかは、事業所からの申請後、認証機関による審査、監査会社による監査などに評価された後に証明されるが、監査と認証取得に必要なコンサルティングを一社が行うことを許可している。

そのため、各事業所はアドバイスを受けながら、仕組みを構築しつつJFS規格認証を実現できるようになっている。現在、ミドルレベルのJFS-Bを145社が、JFS-Cを59社が取得している。

JFSに取り組むメリットは、HACCPの義務化に対応できるからというだけではない。JFSに取り組むことで社内共通のルールが明確化され、価値観が共有できたり、自社内だけでなく他社に対しての差別化・付加価値、意思疎通にも役立つ、と大羽氏。

JFSで「食品安全の見える化」を

サプライチェーンが複雑になりがちな食品業界では、食の安全を一社だけで確保するのは難しく、業界全体で取り組んでいくことが不可欠であるが、日本の食品業界のレベルアップにもJFS制度は役立つ、と大羽氏。

昨年11月末には、JFSMと日本GAP協会の JFS-CとASIA GAPが世界食品安全イニシアチブGFSIの認証を取得し、国際認証規格の仲間入りを果たしたことで、JFSに取り組むメリットがますます強化されている。

JFSに取り組むことでHACCPの義務化に対応できるだけでなく、消費者や取引先に対して「食品安全の見える化」が可能になる、随時アップデートされている国際規格にも随時対応できる。

また、輸出拡大のチャンスが得られ、食品安全管理にかかるコストを最適ができるといったさまざまなメリットがある。きめ細やか、シンプルで取り組みやすいJFSなので、ぜひこの認証制度を活用してほしい、とまとめた。

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