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2020.1.28HACCP実現の新調理システム~Care Show Japan2020セミナー

2020年1月28日~29日、東京ビックサイト青海会場にて「Care Show Japan2020」が開催された。この中から、西 耕平氏(一般社団法人新調理システム推進協会 事務局長)の講演「HACCP+省人化=感染症食中毒予防対策=令和のニュークイックチルシステム」を取り上げる。

飲食業界は圧倒的な人手不足

現在、飲食業界では圧倒的な人手不足で、多くの飲食店でこの難局を乗り越える方法を模索している。

高齢者や外国人労働者が問題なく働ける環境、特に飲食店では「厨房づくり」が早急な課題となっている。

そのために「整理整頓」「自動化」「労働環境(労働条件)改善」に力を入れる必要があると西氏。

ちなみに日本の外国人労働者の受け入れ率は世界で第4位となっている。

バブル時代の外食産業は3K(きつい、汚い、汚い)と表現されていたが、IHが導入されたことで3C(クール、クリーン、コントロール)が実現し、さらに2P(プロダクティヴィティ=生産性向上、プランニング=計画性の向上)も実現している。

しかしそれでも厨房周りには「整理整頓」「自動化」「労働環境(労働条件)改善」をするために見直してほしい11の消費があると西氏。

見直すべき11の消費とは

その11の消費とは「人(調理と移動、運搬の動線)・時間・電気・ガス・炭・水(湯)・食材・調味料・油・洗剤・消毒液」。
これらを徹底して見直すことで省人化・動線の短縮・原価率の維持が可能となり、さらにHACCP(生産性と危機分析重要管理)をも実現できるようになる。

そのために「クックチル、クックフリーズ、真空調理、ニュークックチル、クックサーブ、アウトソーシングといった調理におけるすべての調理工程を体系化する概念」が「新調理システム」。

これを導入することで、調理の品質管理、生産性の向上、そしてフードビジネス成功の鍵である「クオリティー・サービス・クレンリネス(清潔で快適)」を飛躍的に向上させ、原価率の維持管理にも大きく貢献することができると西氏。

例えば、従来通りの調理作業バランスを確認すると、一般的に「下処理や下ごしらえに17.4%」「調理に13.6%」「最終調理と盛り付けに26.8%」「配膳に3.0%」「片付けに16.4%」「食器洗浄に16.9%」と片付けや食器洗浄にかかる時間や運搬による時間のロスが多く見受けられる。

しかし「下処理や下ごしらえ」をアウトソーシングし、食器洗浄も完全自動化することで、時間のコスト削減だけでなく食器の破損率が軽減し、洗浄殺菌もより徹底される。

また、調理についてもITを搭載したスチームコンベクションオーブン(スチコン)を利用することで、衛生面や品質管理においてもより効率化できる。

さらに、ガスコンロや回転釜で調理するゆで物や煮物をスチコンに置き換えることで、調理時間が30%以上カットできるだけでなく人件費削減にも効果がある。

人材不足でも十分に対応

ニチワ電機が開発している最新スチームコンベクションオーブンRYは、「自動調理機能」だけでなく「AI自動補正機能(特許取得)」を搭載し、最適な調理時間にコントロールする。

さらに、全調理工程を自動記録する機能がHACCPにも対応し、1台で「焼く・煮る・蒸す」が可能で、いつでも安定した美味しさと安全性の高さが提供できる。また、人材不足でも十分に対応できる。

従来のクックチルシステムとは「加熱、急速冷却、チルド保存、再加熱までの工程をホテルパンにセットした状態で行う」ことであった。

しかし、「ニュークックチルシステム」は加熱料理・急速冷凍した料理を提供する食器に盛り付けた状態でチルド保存することで、盛り付けの時間も省略できる。

高品質な調理を安心安全に提供

また、適温で料理を提供することができ、従来再加熱が難しいとされてきたご飯・炒め物も美味しく仕上がるというメリットがある。もちろん衛生面や安全性も高くなる。

「新調理システム」とは調理人の経験と勘だけに頼ることなく最新の調理器具や効率動線を導入した厨房づくりのことであり、高品質な調理を安心安全に提供するための厨房システムである。

ここ数年「社団法人 新調理システム推進協会」には、新調理システムの導入検討企業やHACCP概念を積極的に導入している企業だけでなく、医療福祉や学校給食の現場からの問い合わせも増えている。

人員不足に悩む飲食関連企業はぜひ「新調理システム」を検討してほしいと西氏は話した。

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