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2022.2.82022年世界の食品トップ10トレンド~健康博覧会2022セミナー

2022年2月8日~10日、東京ビックサイトにて「第40回健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、田中 良介氏(イノーバ・マーケット・インサイツ 日本カントリーマネージャー)の講演「世界の食品トップ10トレンド2022~変化の時代を見通す情報源」を取り上げる。

どの企業も世界に出ていく必要性


世界中の食品トレンドをリサーチしているマーケティング会社イノーバマーケットインサイツ社(オランダ)で日本のカントリーマネージャーを務める田中氏。

加速する世界の最新食品トレンドや世界スタンダードのアイディアを知ることで、近未来を見通すヒントを得てほしいという。

この2年間、コロナ禍で日本も世界も思うように各国と交流できない状況が続いている。特に日本は世界の変化のスピードを体感できていない印象がある。

こうした中、どうしても企業は内向きになりがちである。しかし、日本の少子高齢化を考えるとどの企業も世界に出ていく必要に迫られている。

あるいは世界のトレンドを受け入れざるを得ない状況にある。2022年の世界の食のトレンドはどう予測されているのか。田中氏は以下のように述べる。

トレンド1:シェアードプラネット(shared planet)

地球を考えた商品開発。2020年までは、ほとんどの企業が「人の健康」について考えてきた。

しかし、その時代は2021年で終わり、2021年からは「人の健康は言うまでもなく、それはそもそも地球の健康あってこそ」と考えられる時代へと変わった。

その背景にはコロナの影響もある。CO2排出削減量が明記されたパッケージ商品や環境再生型で作られた商品の方が売れるようになってきている。

また環境問題は健康問題と別問題ではなく、環境問題と健康問題がリンクしており、別物ではないことを多くの人々が理解しはじめている。

トレンド2:プラントベース

プラントベース(植物由来食品)の購買理由も、2020年までは「健康に良いから」という理由が多かった。しかし、この数年で「地球に優しいから」という理由で購入する人が増えている。

植物由来食品には、ローカルテイストやローカル素材を加えたオリジナル商品が多く、持続可能なスタイルに貢献しやすいという側面もある。

ただ、世界の3人に1人はプラントベースに否定的で、その理由のほとんどが「味や食感が好きではないから」と答えている。

とはいえ、3年前のプラントベース食品と現在のものは味も食感も風味も全く別次元へと進化している。

プラントベースの食品こそ「プレミアム」で「ガストロノミー(美食)」、「決して代替食品ではない」という新たなポジションを確立しはじめている。

トレンド3:テクノロジーを食卓へ

世界の5人に1人は新しい技術に敏感だ。細胞を培養した肉や魚の量産化の目処が立ち、そうしたものを食べてみたい、そうした食品こそ最先端技術でトレンドだと考える人も特に若い世代を中心に増えている。

細胞培養の技術こそ食品業界の未来を担うという考えは欧米でスタンダードになりつつある。他にも空気を原料とするタンパク質などに注目が集まっている。

さらに、多くの人が身につけているスマートウォッチなどウエアラブルな健康機器と食事をもっと連動させることで、より「今の自分に必要なもの」「本当に効果があるもの」を考えて食べることを消費者は望んでいる。

「食医」という考えはどこの国にもあるが、それが本当に効果を発揮しているのか、計測する時代はそこまできている。

トレンド4:食シーンの再創造

パンデミックによって外食が制限され、新しい食のシーンが生まれようとしている。

例えば、人と極力接触しないドローン配送が実現しつつある。これまで高級レストランでしか食べられなかったようなメニューがデリバリーや冷凍で家庭でも体験できるようになった。

アメリカではデリバリー専門の「顔が見えない飲食店」を「ゴーストキッチン」と呼ぶそうだ。

ゴーストキッチンなのに原料や原材料、作り手やプロセスなどの情報を提供することで透明性を図る「アンチゴーストキッチン」も登場している。

トレンド5:消費者の声をもっと大切に

SNSの影響もあり消費者の声の吸い上げは今まで以上に必要になる。特にZ世代の声が重要で、この世代はサスティナブルやSDGsに強い関心を持ち行動している。

これまで「批判」や「クレーム」と捉えられていた消費者の声を「適切な会話」に変えていく技術も求められている。

 

トレンド6:新たな腸内環境

腸内環境ブームは日本だけでなく、世界の3人に2人が「腸の健康がウエルビーイングにつながる」と理解している。

これまではプロバイオティクス、プレバイオティクス、そしてこの2つをミックスした「新バイオティクス」という3本柱で腸内環境を考える食品が人気を集めてきた。

しかし、今年は「ポストバイオティクス」といって腸内細菌の代謝物質が新たな腸内環境のトレンドになるのではないか。

トレンド7:原点回帰のストラテジー

SDGsの流れもあり、ローカルの重要性が増している。「地産地消」だけでなく、ローカル支援の目的もある。

ローカルな食品には新鮮さや、豊富な栄養成分、天然素材、安心・安全だけでなく、地域貢献や地域活性、フードロスの問題への取り組みなどのメリットもあり、大きなトレンドになりそうだ。

トレンド8:食体験の増幅

世界中がコロナ禍でストレスがマックスになっている。1日も早くロックダウンから解放されたいが、まだまだ落ち着かないため食品業界では「味覚だけは世界を旅しよう」と、世界各国の料理を家庭で楽しめる工夫が見える。

世界のビールや、世界の発酵食品などは話題だ。他にもおこもり中の備蓄にもなる家庭でのピクルス作り、子どもと一緒に楽しめるパンづくりなど、「食経験」につながるコンテンツ提供にも力を入れる企業が増えている。

トレンド9:アップサイクルの再定義

日本ではまだ「アップサイクル」という言葉を使い始めている企業が増えてきた、というレベルだ。

しかし、世界では「ラベルの認証化」や「社会的意義の追求」など、アップサイクルという言葉を濫用することなく、正しく深く広めていく動きが見える。

アップサイクルの製品として欧米で注目されている素材に「OKARA」がある。

おからは私たち日本人にはあまりに当たり前の食材の一つだが、実は日本食の中にはこのようなヒットやトレンドの要素が隠れている。

トレンド10:価値観ターゲティング

これまで、食品企業は消費者の嗜好(味やニーズ)で製品開発をしてきたが、これからは消費者の信念や価値観を反映させているかどうかも大事になる。

一例としてLGBTqサポートビール。食品が「美味しい・健康になれる・安全」というのはもはや当たり前で、自分を制限するのではなく自分にポジティブに向き合う挑戦を応援する食品を開発することが大事だ。

少し前までは、世界で流行したものが日本には10年遅れてくる感じだったが、そのタイムラグは短くなり、1~3年で世界のヒットが日本に来ることが多い。

世界の共通課題でありトレンドであるSDGs。この辺りを意識して商品開発やマーケティングを進めることが重要なのではないかと話した。

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