2021年6月9日(水)~11日(金)、東京ビッグサイト青海会場にて「ウエルネスライフジャパン2021」が開催された。この中から、勝山 亜唯美氏((一社)日本スーパーフード協会 代表理事)の講演「2022食のトレンド予測トップ10」を取り上げる。
プラントベース、30%近く売り上げが上昇
Whole Foods Marketは米国に500店舗、英国に7店舗(2021年現在)ある世界的なスーパーマーケットチェーンで、ナチュラル系のスーパーマーケットとしては世界最大手として知られる。
自然食品、オーガニック食品の代表的なスーパーマーケットとして世界の食市場に影響を与えているだけでなく、2017年にはアマゾンに買収されオンラインシステムも拡充、またSDGsの問題にもいち早く取り組んでいることで消費者からも評価されている。
海外のトレンドリーダーともいえるWhole Foods Marketが発表した2021年のトレンド予測を振り返り、2022年に押さえておきたいキーワードについて勝山氏より解説が行われた。
コロナ禍におけるトレンドの変化
コロナ禍になり1日3食自宅で食べることが当たり前となり、食に対する消費者の意識は高まっている。
オーガニックやプラントベースといった「体に良い食品」の売り上げは伸びていて、プラントベースに至ってはコロナ前と比較して30%近く売り上げが上昇。消費者は美味しいだけでなく食べ物に効能を求めるようになっている、と勝山氏。
またスーパーフードも売り上げを伸ばしているが、スーパーフードは元々食品とサプリメントの間のようなものが多い。
そのため「食事箋」としてスーパーフードを利用する人も増えている。また、プラントベースとは違うが、遺伝子組み換えしていない食材や伝統的な食材の人気も評価されてきているのが、コロナ禍のおおまかな食のトレンドといえる。
Whole Foods Marketの2021年トレンド予測
Whole Foods Marketは毎年「食のトレンド予測」を毎年行っているが、2021年のトレンド予測はどのようなものだったのか。
コロナ禍という背景において今年のトレンドを以下のようなものだと昨年に発表しており、それは概ね異論の余地がないものとなっている、と勝山氏。
トレンド1:ウエルビーイング、免疫強化を助ける食卓
霊芝やザワークラフト(ドイツのスーパーフード乳酸菌発酵)、キムチ、青パパイヤパウダーなどが人気。最新のアイテムにマッシュルームスーパーフードブロス(きのこを余すところなく食べられるパウダー。
βグルカンとタンパク質が摂れる、スープにもおやつにもなる)があり、非常に手軽なのにきのこの栄養が丸ごと摂れることから大ヒット。またVCがコロナにも良いということで、VCサプリメントやアセロラ、カムカムなどの商品もよく売れている。
トレンド2:毎日充実した健康的な朝食
1日3食自宅で食べる人が増え、朝ごはんから積極的に栄養を摂ろうと考える人が増えている。朝食だけでもグルテンフリー、糖質フリー(ロカボ)、といった健康な食事を選ぶ人が増えていて、このような人たちを「フレキシタリアン(土日だけベジタリアンとか、週に2日健康的な食品、朝食だけ健康的になど)」と呼ぶ。
フレキシタリアンのマーケットが拡大していて、見た目は卵だが豆から作った植物性エッグなども人気。
ちなみに植物性卵はシリコンバレー発の食品で、Food×Technology=フードテックがこれからの食のマーケットを牽引すると考えられている。大豆ミートも同様で、従来肉の2倍の速さでマーケットが拡大している。
トレンド3:低糖質
特に椰子の新芽のパスタが大人気!カロリーは小麦パスタの1/10で、罪悪感が少ない。ライトライスリゾット(豆がベースでご飯は少々。高タンパク、低糖質、低脂肪の食事)も人気で、主食が豆に移行しつつある人たちが増えている。
トレンド4:コーヒー風味の流行
進化系コーヒーが大人気。適度なカフェイン摂取はむしろ推奨されるようになり、コーヒーにいわゆるちょい足しで「植物性ミルクラテ」にするなどが人気。オーツ麦をベースにしたバリアコーヒー、白いコーヒーなども人気。
また、アメリカでは日本の喫茶店のようにあえて丁寧に時間をかけてドリップするコーヒーのいれ方も流行っている。そのまま食べられるブロックコーヒーやスムージーなどにも流用できるブレンダーボムも登場。
トレンド5:機能性強化ベビーフード
コロナでベビーフードもより健康的で機能性が強化され、ナチュラルなものが人気。子ども用オーガニックスムージーなども売れている。
トレンド6:アップサイクル食品
単なるリサイクルではなく元の物より付加価値のあるものにリサイクルされた食品。従来破棄されていた食品廃棄物などがフードテックを使って生まれ変わっている。
SDGsもあって流行。ビール用大麦ホップのあまりカスを利用して作られたスナックは高タンパク、低カロリーで大人気。米の胚芽の粉末トコトリエノールパウダーも大人気。
トレンド7:オイルチェンジ
美味しくて健康に良いオイルをどのように選ぶか。亜麻仁油は加熱調理できないが、サンフラワーシードオイルやパンプキンシードオイルは加熱が可能なので普段使いできると人気に。
トレンド8:お酒になったコンブチャ
お茶を発酵させて作る発酵飲料であるコンブチャが数年前から人気だが、さらにアルコール入りのコンブチャが大人気。ビールにはグルテンがあるが、グルテンフリービールとしてコンブチャアルコールを選ぶ人も。
トレンド9:ひよこ豆の加工食品
イスラエルの家庭料理であるひよこ豆のペースト「ムフス」は味が美味しく欧米ではだいぶ前から人気で定番だが、今年はひよこ豆をパウダーにして使う商品がトレンド。ひよこ豆のメレンゲスイーツなども登場している。
トレンド10:野菜と果物のジャーキー
きのこがおしゃれスナックとして人気になっている。ジンジャーやカカオなどのフレーバーをつけたきのこジャーキーは美味しく健康にも良い。乾燥物なので長期保存できて、旨味がたっぷり味わえる。
低カロリー、高タンパク、低糖質、食物繊維を多く含むものがコロナ前より人気に。さらにプラントベースやアップサイクルなどに拍車がかかっていると今年のトレンドをまとめた。
さらに来年、2022年のトレンドはこの今年の傾向に加え「心身に効く食品」が人気になるのではないか、と話す。「コンフォートフード」「体を温める東洋の食」「リラックス」がキーワードになりそうだという。
日本スーパーフード協会が予測する2022食のトレンド予測トップ10
1位:免疫強化スーパーフード 青パパイヤ
青パパイヤは酵素がNo.1の食品だが、今のところパウダーのものをトッピングして食べるのが主流。他の食べ方が普及するとなおヒットするのではないか。
消化代謝をアップするだけでなく免疫力が強化され、体が温まるのが青パパイヤの効能。日本でも都内などで生産ができるなど市場が拡大する予感がある。
2位:アセロラ
ビタミンCがレモン果汁の34倍というだけでなく、ポリフェノールも多いのが特徴。免疫力の効果とアンチエイジングの両方の効果があり、スナックからパウダーまでさまざまなバリエーションがあるので手軽に手に入りやすい。
3位:C B Dオイル
カンナビジオールが心身を調整することが知られるようになり、カプセルタイプからリキッドタイプ、ガムやグミなどのスナックタイプなどさまざまなアイテムが人気になっている。
4位:ヒハツ
アーユルヴェーダのスパイスで機能性成分ピペリンの血流改善効果がよく知られるように。体を温めることが健康に良いということが、東洋ではもちろん欧米でも少しずつ知られるようになっている。
5位:ライスブラン
アップサイクルの代表。栄養豊富な米糠の新スタイル。軽いのでコーヒーやお味噌汁に入れたり、スムージーに入れたりバリエーションが豊富で、腸活との相性も抜群。
6位:プラントベースミート
バーガーキング、ロッテリアやフレッシュネスバーガー、ドトール、コメダなどでも植物肉に進出していて、味も好評なので定番になるのではないか。
7位:ひよこ豆
日本でもパスタやシチューのルーなどバリエーションが豊富になりつつある。特に大手スーパーイオンが力を入れているのでヒットの可能性が高い。
8位:機能性マッシュルーム
きのこのしゃぶしゃぶ専門店が日本でも人気。カレーでもキノコカレーもコンビニで人気。キノコジャーキーは日本でも人気になる可能性が高く、またキノコのパウダーも注目。
9位:ちょい足しオイル
2021年のトレンドで登場したサンフラワーシードオイルやパンプキンシードオイルがさらにさまざまなシーンで日常使いされるようになるのでは。
10位:進化系コーヒー
大豆から誕生する「ソイフィー」、機能性の付加価値がついた「ブーストコーヒー」「クロロゲン酸強化コーヒー」など、コーヒーでリラックスだけでなく健康に、が当たり前になるのでは。またさまざまな機能性素材をちょい足しするアレンジも多く登場すると予想される。
トレンド予測からわかることは、人々が食に健康的な効果や機能だけでなく、癒しや良い習慣を求めているということだ、と勝山氏。来年おさえて欲しい食のトレンドについて何らかの参考になればとまとめた。