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2022.7.22近未来型アンチエイジング、2025年大阪万博で体感~ウェルネスライフジャパン2022セミナー

2022年7月22日(水)~29日(金)、東京ビッグサイトにて「ウエルネスライフジャパン2022」が開催された。同展示会セミナーより、森下竜一氏(大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学教授)の講演「近未来型アンチエイジングとは~2025年大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンから学ぶ」を取り上げる。

日本、高齢化で「老後期間」が長期化


2025年大阪・関西万博の大阪パビリオンの総合プロデューサーを務める森下氏。大阪ヘルスケアパビリオンでは「2025年の未来社会を参加者に見せる・体験してもらう」というコンセプトで今まさに動いているという。

日本では急速な高齢化が進み、平均寿命が伸びて世界一となり「老後期間」が長期化している。

この状況に伴い高齢者の医療費が社会負担として大きくのしかかり、このままでは消費税が20%を超えてもおかしくないし、そうしないと社会が持たないと議論されはじめている。

この課題を解決するために「健康寿命を伸ばし平均寿命との差を縮めるべき」といわれているが、この10年で目に見える成果は残念ながら出ていない。

しかし、現状の60歳ではなく75歳以上を高齢者と定義し直し、18~74歳で75歳以上を支える仕組みに変えれば問題は解決することもわかっている。

高齢者を75歳以上と再定義

私たちの寿命は伸びているが、その分昔の60代と今の60代では医学的に見ても健康度が増しており、もし高齢者を75歳以上と再定義し直せば、消費税を上げなくてもやっていける、と森下氏。

「75歳から働きたければ働く、年金をもらいたければもらう」という選択社会時代が最も望ましいが、そのためには早い段階で未病や予防に一人ひとりが努める必要がある。

しかしそれは難しいことではない。私たちが生活の中で、未病や予防が意識できるようになる世界はもうすぐそばまできているからだ。それを体感できるのが2025年に開催される「大阪・関西万博」である。

万博のメインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、このテーマはコロナ前に決まっていたが、偶然にもアフターコロナ/ウィズコロナ社会でも問題ないコンセプトになっている。

大阪パビリオン、未来社会の新たな価値を創造

そしてこの万博における最大のミッションは「日本型医療・ヘルスケアサービスの最先端技術を発信する」ことである。

特に大阪パビリオンのテーマは「Nest for Reborn(ネストフォーリボーン)」に決まったところで、これには「人は生まれ変わる、新たな一歩を踏み出す」という意味がある。

外観デザインは鳥の巣の形状で、鳥が羽ばたくために巣を作るように、新たな大阪の未来が生誕するイメージである。いずれにせよ大阪パビリオンでは「健康」という観点から未来社会の新たな価値の創造を発信するという。

2050年に実現可能なヘルスケアサービスを体験

具体的に決定しているのが「アンチエイジング・ライド」。ポッド型の未来の乗り物に乗車すると、オールの吹き抜けを回遊しながら2階に進み、道中では未来を体験しながらさまざまな自動診断が行われる。

ライドが終わると診断サマリーとAIによるリコメンドが行われアンチエイジングのために具体的に何をすれば良いのか、あるいは現状がどうなっていて、このままでは未来にどのような健康状態になるのかなどを知ることができるシステムだという。

未来の医療ショールームである「ホスピランド」では遠隔手術・再生医療のED映像体験・自動細胞生成装置の体験など、近未来に登場するであろう医療サービスを参加体験することができるという。

他にも鏡に映る顔から生体物データを取得しAIによるパーソナルアドバイスを受信できるメディカルミラーや、口腔内で細菌チェックができるモニタ付き歯ブラシ、食料品店で健康管理と栄養管理を同時に行って売れるメディカルベンダーなどがある。

また、目の動きだけで脳年齢を測定できる装置、必要な栄養素をサプリメントにするのではなく3Dプリンターを使ってスイーツにするデバイスなど、2050年には実現される可能性のあるさまざまなヘルスケアサービスをたっぷり体験してもらう仕組みを展示していくという。

人々のパーソナルデータが随時計測

いずれにせよ2050年には生活の中にさまざまなデバイスが組み込まれ、人々のパーソナルデータが随時計測され、それによって未病や予防の段階でAIなどからさまざまなアドバイスや健康アクションが提案され、エフォートレスで健康長寿が実現することが叶うようになるだろう、と森下氏。

健康長寿の実現は福祉ではなく産業であり政策であり、実際この万博では2兆円を超える経済効果が見込まれているという。

今は自分が病気かどうか、不調の原因を知るために病院にいく時代だが、2050年には、家にいるだけで健康状態の把握や病気の診断が可能になり、病院にいく必要があるのは医師の治療が必要な人のみになるであろう。

75歳を高齢者とする案や、年金選択制などについては反対意見もあるが、ヘルスケアサービスや産業がこの先さらに加速度的に進むことで、それらは難しいことではなくなるのではないかとまとめた。

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