患者は、多発性の皮膚の基底細胞癌および扁平上皮癌の病歴を有する68 歳の白人男性で、右肩に新たな0.5cm の赤い丘疹が発見された。生検では、病変は境界明瞭な細胞性腫瘤で真皮に位置していた。腫瘤は中等度の多形性を有する円形から紡錘形の細胞で構成されていた。これらの細胞は血管網の間隙に密集していた。
核は多孔状で明瞭な核小体を有していた。有糸分裂像が散見され高倍率視野で最高4割程度認められた。腫瘤細胞はビメンチン染色で強陽性であったが、サイトケラチン、上皮膜抗原、CD68、S-100 蛋白質、およびミオグロビンは陰性であった。アクチン抗体によって染色された平滑筋が血管周囲に散見され、CD34 による内皮細胞の染色も認められた。これらの結果は、血管周囲細胞腫の診断と合致する。
病変部は広範囲な局所切除によって摘出された。放射線検査により、多発性の肺結節が発見された。肺のリンパ節生検では転移性の血管周囲細胞腫の存在が確認された。患者は、それ以上の外科手術や化学療法、放射線療法は拒否し、患者自身がインターネットで見つけた生物的反応修飾物質である修飾米ぬかアラビノキシラン(MGN-3) の摂取を開始した。肺の腫瘤は連続イメージングで着実な縮小が確認され、本報告提出時の段階(使用開始34 ヶ月後)で、腫瘤はコンピューター断層撮影で検出不可能な大きさになっていた。
患者が非慣習的な治療の選択肢をインターネットを通じて探すことはめずらしいことではない。本患者は、自分でリサーチしインターネットを通じて修飾米ぬかアラビノキシランを注文した。さらに、自己処方し自身の治療の観察も行った。近代西洋医学では証明されていない治療法を奨励することはできないが、患者によるこれらの治療法の使用を医師は認識することが重要である。
Jodi Markus,Alicia Miller,Megan Smith,and Ida Orengo Dermatol Surg; 32:145-147