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2015.3.20SAMe(サミー)

酵母由来のサミーの使用が日本でも可能に。変形膝関節症に伴う痛みが軽減

SAMe (S-adenosylmethionine:サミー)は、1970年代初頭にイタリアの企業が薬剤として開発、欧米で鬱症状や関節炎の対応素材として人気を博しています。

とくに、変形膝関節症に伴う痛みの軽減の報告が多数ありましたが、日本ではSAMeは医薬品に分類され医師の処方がなければ使えませんでした。

それが、日本酒の醸造等で使用される酵母由来のサミーであればサプリメントも可能と厚労省が見解を示したことから、日本でも使用が出来るようになりました。

SAMeは、人の体内でも常に作られています。これが果たす主要な役割がメチル化といわれるものです。一つの分子には原子4つ、いわゆるメチルグループが付属していますが、このグループを近くの分子とやり取りする処理過程が、胎児の発育や脳の機能などさまざまな生体機能に影響を与えます。

この処理はまた、遺伝子の調整やホルモン、神経伝達物質(セロトニンやメラトニンなど)の制御の役割も果たします。SAMeがなければ、こうしたメチル化処理に支障をきたすともいわれます。

メチル・グループのやり取りはさまざまな分子間で行われますが、とくにSAMeが最も活性的です。体内ではアミノ酸のメチオニンから作られ、コンスタントにリサイクルしています。SAMeがメチル・グループを手放すと、分解されホモシステインの形になります。

このホモシステインは細胞内に蓄積されると毒性を表し、心臓病の要因になりますが、ビタミンB複合(B6、B12、葉酸など)の助けを借りてホモシステインが貴重な抗酸化剤であるgultathioneに転換されるか、あるいはメチオニンに「再メチル」されます。

このようにSAMeとホモシステインは一つの分子を基に「有効」「危険」という反対の性質を持つことになります。体内にビタミンBが豊富にストックされている場合はホモシステインの量が低く抑えられますが、反対に不足気味になるとホモシステインは蓄積されSAMe分泌が遅くなります。

SAMeは、セロトニンやドーパミンなど脳内の神経伝達物質の影響を促進させ、さらにそれら物質の受容体の反応も向上させることから、脳機能を正常に保つと考えられています。

また、関節炎など炎症性疾患の症状緩和、鎮痛に果たす役割が確認されています。ドイツで行われた研究では、患者21人にSAMeか、偽薬を3ヶ月間与えMRIスキャンで手首関節を検査したところ、SAMeグループにはっきりした回復が現れたといいます。

この他、肝臓機能を正常化する働きを持つことも明らかになっています。そもそも肝臓は副腎、脳の松果体に続いて体内で3番目にSAMe濃度の高いところです。肝機能に必要なグルタチオンを作り出すのにもSAMeは必須で、ラットを使った実験で、SAMe濃度の維持が肝臓保護につながることが確認されています。

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