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2019.9.18ミレット

イネ科の穀類、8種の必須アミノ酸含有。豊富なシリコンで髪や爪、歯の健康に関与

ミレット(Panicum miliaceum)はイネ科の穀類で、原産は北アフリカ、特にエチオピアあたりと考えられており、有史前から食料として用いられてきました。

穀類の中で唯一、8種の必須アミノ酸が完全に含まれているのがミレットだといわれています。

ミレットは、アフリカでは現在でも重要な主食で、インジェラ(injera)と呼ばれるフラットブレッドの原料になっています。

また、アジアやインドでも古代から食されています。中世では、じゃがいもやとうもろこしが生産される前の重要な食料でした。

アメリカには19世紀になって、Setaria種が入ってきています。西ヨーロッパや北米では主に鳥や家畜の飼料として知られますが、最近の健康ブームに乗って食料品としても人気が出ています。

ミレットにはビタミンE、B複合、さらにミネラルが含まれており、重要な栄養素の宝庫と考えられています。例えば、調理した状態で、ミレット1カップ当りにマグネシウムが105.6mg(DV33%)含まれます。

マグネシウムは高血圧の緩和に優れ、心臓発作などの危険性を下げると考えられています。また、喘息や偏頭痛の発作も抑制します。体のあらゆる細胞構造に重要な役割を果たすといわれるリンも240mg(DV24%)含まれています。

リンはその他、骨のミネラル基質を形成する働きをし、ATPなどエネルギー関連にも重要な役割を果たします。

ミレットは不溶性食物繊維で、このような食物繊維を多く摂取すると、胆石の予防にも役立つとされています。

American Journal of Gastroenterology(2004年7月号)に掲載された研究では、Nurses Health Studyに参加した女性6万9,778人が摂取した食物繊維の量と種類を分析したところ、食物繊維(可溶性、不溶性どちらも含む)を最も多く摂取したグループは少なかったグループに比べ、胆石の危険性が13%低くなっていることが分かりました。

また、不溶性食物繊維を多く食べた場合、危険性は17%低下していたといいます。摂取量が5g増加するごとに危険性が10%低下することも報告されています。

ミレットの重要成分の一つにリグナンがあります。これは腸に入ると「善玉」菌によってエンテロラクトンに転換されますが、エンテロラクトンは心臓病、さらに乳がんといったホルモン依存のがんの危険性を下げることが報告されています。

Journal of Nutrition(2004年10月)に掲載された報告では、閉経期後 の女性857人を対象にした研究がデンマークで行われ、全粒穀類を最も多く摂取したグループでは血中のリグナン値が目立って高くなっていたことが分かりました。

ミレットにはシリコンも豊富に含まれています。シリコンは体の浄化を行い、塩分を除去。体内のミネラル分を正常に維持する働きがあることが報告されています。シリコンは、コラーゲンの重要な構成成分でもあり、髪の毛、皮膚、爪、歯の健康にも関わっています。

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